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90歳の平原里見さんが初の個展 退職後にひかれた水墨画など40点展示

 江戸川区東瑞江の平原里見(さとみ)さんが、3月9日~11日の3日間、東部フレンドホール(江戸川区瑞江)で、90歳にして初の個展「平原愚老 水墨画小作品展」を開いた。こつこつ描きためた中からえりすぐった作品に、個展に向けて描いた新作を加え、水墨画、墨彩画40点を展示した。

教え子の勧めと手伝いで3日間
 平原さんは16歳から67歳まで旋盤工として町工場などで働いてきた。戦争中は、そば1杯の夕飯を食べてから夜遅くまで毎晩残業し、休みは月に2回しかなかったという。

日々が研究です
 退職後、さまざまな趣味に挑戦し、水墨画にひかれるようになった。「濃淡を出すのが難しくて日々が研究です。描き上げたときは最高の満足感。描いてるときはね、むしろ苦しみ。出来上がりが楽しみで、うまく描けたときは、さわやかな気持ちになります」と言う。毎日描き、時には食事をする間も惜しんで夢中になってしまう。

手作り箸袋にかれんな花の絵
 水墨画のほかにも、石を刃物で削って印をつくる篆刻(てんこく)は、依頼を受けて制作するほどの腕前。また、書道も得意で、作品展の会場には、墨彩画に俳句をしたためた俳画を空き箱の内側に描いたものや、旧字などを使った「おてもと」の文字とかれんな花の絵を描いた、手作りの箸袋なども飾った。箸袋は、知人の旅行会のために1人で2200枚制作したこともある。

人柄気さくな「おじさん」
 作品展の開催は、平原さんが水墨画を教えている近所に住む60代~70代の4人の協力で実現した。平原さんが、自室に作品を飾って眺めている様子を見て開催を勧め、準備から当日の作業まで手伝った。その一人の小野孝さんは、平原さんについて「面倒見がよくて優しい人。ああいう人はなかなかいないんじゃないかな」と話し、羽賀利江さんも「親しみやすくて、先生なんだけど『おじさん』って呼んじゃうような気さくな人柄」と笑顔で話す。
 作品展は、3日間で130人余りが来場する盛況で、平原さんは、「たくさんの人が見に来てくれて、やってよかった」と感慨無量の様子。展示作品は、希望者に額代のみで譲ることにしたが、同じ作品を数人が希望したものも多く、作品展終了後に新たに制作することにした。平原さんは「これからが大変!」と、改めて作品制作意欲に燃えている。