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22年続けた「歌と踊りの祭典」

 葛飾区亀有に「小千谷(おぢや)たきざわ」という昔ながらのたたずまいの定食屋さんがある。看板メニューはみそかつ定食だが、店主の滝沢勝巳さんにはもうひとつの顔がある。それは、22年続いている歌謡イベントの〝トータルマネージャー〟というものだ。隔月ペースで開いているチャリティー歌謡イベント「歌と踊りの祭典」。2月23日には、プロ歌手16人を含む124組が続々と出演し、会場の「かめありリリオホール」(葛飾区亀有)は超満員となった。
 滝沢さんと妻の邦子さんが切り盛りする同店はカラオケセットも備え、地元の歌い手たちのいわば集いの場。壁面は歌手たちのポスターでいっぱいだ。同店を40年以上にわたって営む滝沢さんは、地元、亀有中央商店街の副理事長でもある。
 以前から盆踊りなど地域の祭りに合わせて、カラオケ大会を始め綱引き大会、ふれあい動物園など個性的なイベントを企画開催してきた滝沢さん。時代とともに道路の占有許可の取得が厳しくなった面もあり、ホールに場所を変え「歌や踊りで町おこしができないか」と考えたことがこの「祭典」の発端で、「盆踊りの延長線上だよね」。同区立石にかつしかシンフォニーヒルズが開館した1992年にここで第1回を開き、近年はかめありリリオホールでの開催が定番。ゲスト代や運営費などを引いた残りは毎回、同区社会福祉協議会に寄付している。
 高い出演料を払って「うまい人ばかりを出すのは簡単」と話す滝沢さん。さまざまなプロが格安で出演してくれる背景には、滝沢さんやその仲間、歌手や事務所関係者との信頼関係の構築はもちろん、開催頻度の多さもその理由とか。新曲キャンペーン中の歌手にとって催事として組みやすいためと滝沢さんは分析する。
 一方、過去の出演者のなかにはその後〝ブレーク〟して有名歌手の仲間入りをした人もいる。この23日の「祭典」で言えば、以前からゲスト出演が決まっていた福田こうへいさんもその1人で、昨年、「南部蝉しぐれ」のヒットで紅白歌合戦出場を果たし一躍有名人になった。今回は入場料1000円という安さも手伝い、約600の座席数に対して前売り段階で1000人以上の希望者が集まるといううれしい誤算もあった。
 「有名人と同じちゃんとした劇場のステージでできる。それがいちばんのメリット」と滝沢さんが話す通り、23日の出演者たちはみな、きらびやかな照明のステージで自慢の歌声や踊りを披露して生き生きとした表情。また、観客は次々と登場する歌い手や踊り手に大きな拍手を送り、福田さんや西川ひとみさんらプロ歌手の歌声も存分に楽しんだ。
 朝から10時間近い長丁場とあって、司会者として名調子を聞かせる滝沢さんも体力勝負だが、「もっとやって、頑張ってという人がさ、50人、100人いるとやめられないよね」。次回は同商店街設立35周年記念と合わせて5月4日に開催する(ゲスト=さくらと一郎、岡ゆう子、永井みゆきら)