top

魚のリアルな姿求め31年 江東区17人の同好会が14日から「美術魚拓展」

 江東区民を中心に結成された同好会「現代美術魚拓研究会」が砂町文化センター(江東区北砂)で、10月14日から「美術魚拓展」を開く。
 同会は1981年、生涯学習の一環で同区が開いた講座の受講生たちを核に誕生。現在の会員は女性2人を含む17人で、会長は5代目の野村一義(画号・一水)さん。同区の亀戸文化センターを拠点に活動しているほか、砂町文化センターでも展示や子供向けの無料体験教室などを開いている。30周年の節目となった昨年は、年1回の「美術魚拓展」の終了後にポストカードや写真集を制作した。
 釣果の記録や記念として作る墨を使った魚拓と異なり、美術魚拓はリアルな色彩が魅力のアート。ニカワが入った日本画用の水性絵の具を主に使い、ぼかしや濃淡、色作りなどを工夫して、魚本来の自然な色に近く仕上げるのがスタンダードだ。
 魚の生態を踏まえながら、ブラッシングなどで背景のアレンジを楽しむ人もいて、「皆さん、いろいろと工夫してやっていますね」と野村さん。ただ、背景の装飾部分も魚拓と同じ手法で仕上げるのが面白みでもあり、魚の目や細かな模様部分以外は、上から筆で書き加えることはまずしないという。同会には、魚以外にも植物で作品を作る人もおり、これらを総称して「拓画」とも呼ぶそうだ。
 魚拓は、魚に直接絵の具を塗る「直接法」と、魚の表面に拓紙(布)を当てて、その上からタンポで絵の具を付けて凹凸を写し取る「間接法」に大別できるが、同会の主体は直接法。美術魚拓の会は都内でも五、六あるが、直接法が主体の会は珍しく、野村さんが知る限りでは全国でも他に「一つか二つぐらいです」。
 間接法は鱗(うろこ)が細やかに再現されて図鑑のような仕上がりになるのに対し、一発勝負の直接法は勢いがある作風が特徴という。
 会員になって10年という太田正治(画号・筑水)さんは、美術魚拓と出会った際、「こんなリアルなものができるのかと驚いた」という。また、釣りが趣味でもある野村さんは、「釣り上げた感動をそのまま残せる楽しさに加え、魚から紙を離す瞬間にどきどき感や感動がある」とその魅力を語る。
 日本最古の魚拓は、実は天保10年(1839年)に墨田区の錦糸掘で釣り上げられたフナ(山形県鶴岡市郷土資料館所蔵)だそうで、「魚拓は日本発祥の下町ゆかりのもの」と野村さんは説明する。
 今回の魚拓展では約40点の作品を展示し、会期中はその実演やミニ体験会も予定。「いろんな人に見てもらいたい」と野村さん。月1回の亀戸での教室(次回は11月11日)では、普段から無料体験も受け付けており、砂町での展示を見て希望者が出てくればうれしいと期待を込める。
 展示は10月20日まで(15日は休館)。午前10時~午後4時(最終日は午後3時まで)。無料。問い合わせは野村さん電話090・1040・9145。