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食糧危機任せて! 「食糧自衛隊創設」私案を著書で

 江戸川区松島の伊東春海さん(77)が、このほど著書「TPP参加なんて怖くない! 食糧危機なんか任してくれ」を発刊した。サブタイトルは「食糧自衛隊の創設私案」。今の国内食糧事情を説明しながら、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加と食糧自給率向上を両立させる私案を伝えている。
 同区で生まれ育った伊東さんは、第二松江小学校(当時は国民学校)出身。中学時代から実家の農家を手伝ってきた。地域活動では、防災街づくりに力を注ぎ、「江戸川区生ごみ堆肥化実践クラブ」設立、「NPO法人有機農産物普及・堆肥化協会」会員などの経歴も持ち、近年は地方の棚田のオーナーとなって稲作をしてきた。
 その伊東さんが、10年ほど前から資料を集めて研究してきた構想が、この「食糧自衛隊」の創設。総合食糧自給率が40%(カロリーベース)と低い国内の現状を改め、将来発生する可能性がある世界規模の食糧危機に備えて70%まで引き上げるのが大きな狙いだ。
 伊東さんが考える「食糧自衛隊」は、農業、林業、漁業の3隊と研究部隊からなり、主に労働力を必要とする役務をこの自衛隊=国が無償で担うというのが骨子。米作を例に取ると、田植えや草取り、稲刈りなどを、農機器の費用負担も込みで食糧自衛隊の農業隊が担う。また、耕作放棄地の拡大を食い止め、復田作業によって作付面積の回復にもあたる。
 一方、農業者は苗床、早苗づくり、水管理、農薬散布などの育成管理全般、脱穀後の作業全般など、主に生育に関わる部分を担当。労働力の安定的提供により、高齢化と後継者不足を補うことにもなる、と伊東さんは考える。
 米の生産増と同時に消費拡大も必要で、パン食の比重の高さや朝食抜きの人の増加を指摘しながら、和食の朝食をとる運動を提言。仮に1億人が毎日ご飯を1杯多く食べると、現在の国産米消費量450万トンが713万トンになると試算。この量は稲作の減反を全てやめられる消費量という。
 食糧自衛隊の規模は、初年度3万人。入隊期間は5年(研究隊は10年)で、原則、希望入隊者を募る。事業費の一部には農林水産業の全ての補助金を廃止して充当。「日本の農業技術、食の安全性は世界的に見ても優秀なんですよ」と話す伊東さんは、量と質の両面を評価基準にすることが肝要とし、食糧自衛隊にはその高い技術を生かした海外派遣も視野に入れている。 
 TPP参加には国内で激しい賛否両論があるが、第1次産業、特に安価な輸入農産物による国内農業の衰退を懸念する声は大きい。ただ、自由貿易に利点がある産業も多く、世界的動向を鑑みれば「たとえ今回パスしても20、30年後には自由貿易体制になる」と伊東さん。準備を整えたうえで「TPPを締結し、モノづくり立国にシフトした元気な国づくりを」と著書で呼びかける。
 国内農業の長期展望が国から示されない中、この私案に確信は持てないまでも「こういう考えの人もいるんだ、という議論のきっかけになれば」と話す。
 同書は220ページ、1575円。全国書店で注文できるほか、地元の平和橋通り沿い「銀河書房」(江戸川区中央)などで購入できる。