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銭湯を障害者の就労支援の場に

銭湯を障害者の就労支援の場に

御谷湯(墨田・石原)

「福祉型家族風呂」も設置

 

墨田区石原で、街角の銭湯が障害者の就労支援の場として登場した。天然温泉の銭湯として70年近く地域に親しまれてきた御谷湯(みこくゆ)が、5月に新装再開したのを機に、建物内に就労継続支援B型事業所「カラコネオフィス」が入り、6月1日から活動している。

5階建てビルとなった新・御谷湯の2階部分に入る事業所では、開店前の浴場や併設のコインランドリーの清掃を中心に、精神、知的、発達障害のある利

浴場の清掃作業では、利用者がスタッフと一緒に水まわりを丁寧に掃除する

浴場の清掃作業では、利用者がスタッフと一緒に水まわりを丁寧に掃除する

用者が銭湯内での作業に取り組む。座り仕事よりも体を動かすことが好きな人に適していて、複数で働く際のコミュニケーション能力を磨く訓練にもなる。利用者の一人は「子供のころ家族で銭湯に通っていた思い出があるので、お風呂屋さんで働けるのはうれしい」と話している。

運営するNPO法人カラフル・コネクターズのボーン・クロイド代表理事によると、御谷湯での清掃作業は障害者自立支援法をきっかけに2006年から始まり、就労訓練の場としての受け入れには御谷湯の経営者、伊藤林(しげる)さん(68)の協力も大きかった。20代からボランティア活動に携わり、「雨水市民の会」など地域活動にも熱心だった伊藤さんは、会合などの予定に合わせて朝早く起床することが増えた時期に、銭湯の多くが店じまい後の深夜に行う清掃作業を日中に切り替えていた。この条件が、障害者が作業に取り組める時間帯と合致した。

実は伊藤さん自身も、障害者や老・老介護の家庭など「浴場を利用したくてもできない人に提供できる福祉銭湯を作りたい」という長年の思いがあった。今回銭湯を建て替える際には、上層階の一般客用の浴場とは別に1階にバリアフリー仕様の「福祉型家族風呂」を設けた。90分単位の貸し切り(一人1500円)で、同性であれば一緒に入浴が可能で、高齢の両親を連れて遠方から利用客が訪れるなど、福祉分野で

御谷湯

御谷湯

の新しい需要の掘り起こしも期待されている。「作ったからには軌道に乗せて地域の人に役立てたい」と伊藤さん。ボーンさんも「いずれは自主製品の開発や入浴介助などにも取り組み、御谷湯を拠点に地域を支える仕事にしたい」と語っている。