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調べる学習コンクールで入賞

 台東区蔵前の荒勝陽子さん(58)が、「第17回図書館を使った調べる学習コンクール」(公益財団法人図書館振興財団主催、読売新聞社など後援)で、「優秀賞・読売新聞社賞」を受賞した。
 荒勝さんの作品は、〝昭和の広重〟と言われた版画家・川瀬巴水(1883~1957年)が、第二次世界大戦前のワシントンの桜を描いた版画について調べた「華盛頓(ワシントン)記念塔(ポトマック河畔)についての研究」。訪れたことのない場所の風景をいかにして制作したのかを検証した。
 以前から巴水の作品が好きだった荒勝さんは、5年ほど前、都内の版画展でこの絵に出会った。日本の身近な風景を描いた作品が多い巴水が、なせこの構図を選んだのか、また、日本の桜が海を渡り、咲き誇るまでになった背景にも思いが及び、テーマにした。
 都内の図書館をめぐり、この絵が写真や絵はがきをもとに描かれたらしい記述を見つけ、参考にした写真を探すことに。図書館や古本屋、新聞社のデータベースも駆使し、この絵によく似た構図の写真を米国議会図書館のホームページで発見。司書にメールで問い合わせ、描かれた当時、米国の商業カメラマンが撮影したものと分かった。その後、当時の郵便事情や撮影場所についても調べ、この写真をもとに描いたことを「一つの結論としていいだろう」と思えた。
 荒勝さんは、港区立みなと図書館の非常勤職員で学校支援を担当。子供たちにコンクールへの参加を呼び掛けるなかで応募を思い立った。
 小学生のとき、「今年から夏休みの宿題が自由研究に変わるんだよ」と、「先生が朗々とおっしゃったの。昔の先生は子供を乗せるのがうまかったのね」。大人の百科事典を使って洋服の歴史を夢中で調べ、当時はコピーなどなく、十二単(じゅうにひとえ)などを絵に描き、自分なりに小見出しなどをつけて完成させた。作品は好評で、代表で発表したうれしい記憶がある。
 また、港区の高校に通っていた頃、地理の授業で「合羽橋」について調べ、「初めて行って、こんなにおもしろいところがあるんだ」と、わくわくしながらインタビューをしたことなど、「私にとって『調べる』ことは、楽しい、面白い、っていうイメージ。深く分かるだけじゃなく、その周辺のことも分かって、歴史が嫌いな人でも、その部分だけは歴史と仲良くなれる、そういう楽しさがあると思います」。インターネットは有効だが、古い本や新聞からは臨場感を得られ、「事実に迫っていける感じ。調べたことに自信も持てる」。
 今は、お話し会など「子供たちが知らない絵本と出会うチャンスを作ってあげる時間を持てることが幸せ」。以前はレファレンスもしていて、「いちばん好きな仕事。小さなことでも、その人が知りたいことを知るのは大きな喜びだと思う。それに答えてあげられることが私の心の平和なんです」と笑顔で語る。
 同コンクールは、図書館を使った調べ学習の普及などをめざし、毎年9~11月に作品を募集し、3月に表彰式を行っている。今回は5万2186人の応募があり、同賞は、大人の部で都内で唯一入賞した荒勝さんと、高校生の部で岡賢さん(渋谷教育学園渋谷高校)が受賞。そのほか入賞は「優秀賞・日本児童図書出版協会賞」に、小学生の部で佐藤光穂さん(江戸川区立船堀小学校)など合わせて34人。墨田区教委など3団体が活動賞に選ばれた。第18回は9月15日から募集が始まる。