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船堀映画祭 7回目

新旧・邦洋 多彩に上映

7回目の船堀映画祭

今年は駅前で「ほっこり」も

「第7回船堀映画祭」(船堀映画祭実行委員会主催)が11月7、8日にタワーホール船堀(江戸川区船堀)で開かれた。

前売り券を“ワンコイン”の500円で販売し、昭和の映画館街をイメージした幅広い作品がスクリーンにかかる同映画祭。2009年の初開催から7年目を迎えた。上映作品15本は昨年より2本少ないが、前売り券発売初日から完売の上映回が出た「あん」をはじめ、「ゆずり葉の頃」や「サクラ花」なども約250席の小ホールを観客で埋めた。来場者数は2日間で延べ2391人だった。また、初の試みとして船堀駅前のトキビル前広場で連動企画のイベント「ほっこり2015」が7日に開かれ、上映前後の時間を過ごす人のために抽選会や飲み物サービス、ライブステージなどが行われた。

◎ドリアンさんと希林さんが登場

ドリアン助川さん

ドリアン助川さん

初日の「あん」上映後に原作者のドリアン助川さんが登場し、小説「あん」と映画について語った。1996年のらい予防法廃止の報道をきっかけに抱いた思いが具体的な創作活動として動き始めるまでに長い道のりがあったことや東村山市の療養所「多磨全生園」を訪れた時に河瀬直美監督や樹木希林さんとともに4000体の故郷に帰れない遺骨が眠る納骨堂に手を合わせたことなど、難しいテーマの物語を世に出すことをかなえた数々の出会いについて語った。

「あん」の徳江役の衣装でトークに臨んだ樹木希林さん

「あん」の徳江役の衣装でトークに臨んだ樹木希林さん

主演の樹木希林さんは8日の2回の上映で観客の前に姿を見せた。トークでは会場を見渡して「満席と聞いていたけど空いているところがあるわねぇ。必ずいるのよ、当日いけなくなっちゃうの。しんどくなっちゃったりして。よくわかるわぁ」と、冒頭からユーモアを交えて場を和ませた。「あん」については、2回目となる河瀬監督との仕事やカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門オープニング作品上映のために訪れたことにも触れ、上映終了後のスタンディングオベーションが長く続いた理由を「河瀬さんが手を引いて私を立たせて観客にこうやってスーっと手を広げるから、皆拍手がやめられないのよ。『もういいよ』って帰りました」と語った。

◎大和田伸也さんも「サクラ花」を鑑賞

席を立って「サクラ花」来場のお礼を述べる大和田健介さん。隣の松村監督も謝意を表す

席を立って「サクラ花」来場のお礼を述べる大和田健介さん。隣の松村監督も謝意を表す

船堀映画祭初の招待作品として上映された「サクラ花」は、第二次大戦末期の特攻機「桜花」の搭乗員らを描いた今月公開の作品。松村克弥監督や大和田健介さん、城之内正明さんら出演者がゲスト登壇した。現場の空気作りのために監督が初日に出演陣を海上自衛隊下総航空基地に体験入隊させてからクランクインしたことなどを明かした。健介さんは「撮影を終えて、いまこうして生きていることが素晴らしいと思った」と語った。観客席には健介さんの父・大和田伸也さんら家族の姿があり、公開間もない作品の鑑賞に訪れたという。

◎戦前から黄金時代の作品も

叔父・歌笑について語る現在の歌笑さん

叔父・歌笑について語る現在の歌笑さん

沢島監督

沢島監督

「超高速!参勤交代」などの新作は人気だが、上映リストに名を連ねる昭和30年代の娯楽作品も負けてはいない。川島雄三監督の代表作「幕末太陽傳」(57年)、美空ひばり出演の「花笠若衆」(58年)、山田洋次監督「吹けば飛ぶよな男だが」(68年)のほか、「おかしな奴」(63年)では、89歳になる沢島忠監督、映画に登場する爆笑王・三遊亭歌笑の甥(おい)にあたる現在の歌笑さんが当時の様子を語った。

弁士の井上さん(左)と話す中さん(中央)。その右には目黒祐樹さん

弁士の井上さん(左)と話す中さん(中央)。その右には目黒祐樹さん

初開催から毎年続く無声映画上映は、1931年公開の鼠小僧もの「御誂次郎吉格子(おあつらえじろきちこうし)」が77歳の弁士・井上陽一さんの活弁で復活した。1時間40分の上映を終えて井上さんは「もう若い女性や子供の声が出なくてあきません。これで最後ですわ」とちょっぴり弱音。この活弁を聴いていた人には午前中の上映作品「ゆずり葉の頃」の中みね子監督もいた。井上さんと同い年という中さんは紹介されて舞台に上がり、「お声が出る間はお続けくださいますよう。這(は)ってもずってもどうぞお続けになって」と励ました。

◎映画通が選んだ洋画も上映

上映作品は、実行委員会を構成するプロ・アマ混在の映画愛好者らが、海外作品も含む幅広いジャンルから検討を重ねて選定している。今回はアラン・ドロン主演「太陽がいっぱい」、江戸川区長推薦の「おみおくりの作法」やニューヨークを舞台にしたインド映画「マダム・イン・ニューヨーク」などのほか、「グランド・ブダペスト・ホテル」では、元キネマ旬報編集長の植草信和さんや映画ジャーナリストの二井康雄さんが飛び入り参加の上映前トークで面白さを語った。

映画祭連動イベント「ほっこり」

映画祭連動イベント「ほっこり」

昨年の“アナ雪”には及ばなかったが、「STAND BY ME ドラえもん」も子育て世代の来場を促した。胎内記憶をテーマにした「かみさまとのやくそく」では、荻久保則男監督と産婦人科医の池川明さんが、制作の動機や子育て支援の側面について語った。