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自分史フェスティバルでその魅力を紹介

 自己を知り自分らしく生きること、また、人と人を結ぶコミュニケーションツールとして「自分史」を活用しよう!――一般社団法人自分史活用推進協議会が8月7日、江戸東京博物館(墨田区横網)で「自分史フェスティバル2013」を開催。同館内に3会場を設け、それぞれ講演、講座、展示などで「自分史」について広く紹介した。

浪江町の“町のこし”や「すみだを変えた100人」も

 同協議会は、2010年に設立。昨年、「話の花を咲かせる」という意味を込めて「8月7日」を「自分史の日」に制定し、今年同イベントを初開催した。
 展示会場では、「思い出の写真を本に」「自分史執筆キット」「エンディングノート」「パソコンで作る自分史」「家系図作成」、過去に過ごした場所を回想し手書きの地図を作る「マッピング自分史」など、16のブースが出展。様々な「自分史」の形に、来場者が興味深く質問する姿が見られた。
 ホールでは、「自分史の新しい可能性」をテーマにパネルディスカッションや自分史を書いた人の発表などが行われ、マッピング自分史を作成した山口樹々さんは、「地図が思いがけず兄妹で語らうきっかけになり、きずなが深まった」と作成中のエピソードを語った。
 また、勝海舟の玄孫(やしゃご)、髙山みな子さんは「(海舟は)下戸で甘党だった。家にはお菓子部屋があり、お菓子がさがってくるのが楽しみだった」「海舟は怖いじいさんだった。帰って来ると家の者が1列に並び頭を下げて迎えた。顔よりも足をよく覚えている」などの祖母から聞いたエピソードを語り、「祖母の話は、家族が知る口伝えの自分史。子供たちにも伝えていきたい」と話した。
 そのほか、東日本大震災で被災した福島県浪江町のB級グルメ・浪江焼麺(やきそば)を広めたチームのメンバーが、展示と講演で被災直後の町や現在の様子などを伝え、「町おこしで始めたチームだが、今は『町のこし』。これからも浪江町のことを伝えていきたい」と話した。
 講座は、就職活動などにも役立つ20代対象のものなど4講座を実施。小学生対象の「生まれた日ノートづくり」では、子供たちが自分の生まれた日のことや名前の由来などを保護者に「インタビュー」し、写真や手形などを盛り込んだスクラップブッキングで自分史を作成。保護者からは「持ち帰ってまた家族で話す機会になる」などの感想があった。
 同協議会の前田義寛代表理事は、「年齢に関係なく若い人も、これまでを振り返ることで将来の希望などにつながることも。このイベントは(自分史の可能性を知ってもらう)最初のメッセージ」と話す。
 また、同イベントの高橋厚人実行委員長は、妻の祖母が亡くなった際、故人についての話をまとめたことが自分史に携わるきっかけで、「戦争を経験し、夫に寄り添い7人の子を育てた普通の女性ですが、笑顔で懐かしむ親戚の中に、泣いている中学生の男の子がいました」。不登校気味だったその子は、これをきっかけに立ち直り、「自分史が人の心にどれほど勇気を与えるかを感じた。もっとみんな自分のことを語ってほしい」と話す。
 同協議会では、今回の会場が墨田区内になったことをきっかけに、オリジナルTシャツを使って地元墨田の町おこしなど様々な活動を手がけている久米繊維工業(同区太平)の久米信行会長らとともに、「すみだを変えた100人の物語」プロジェクトを始動。墨田発展のキーパーソン100人を、若手経営者らが取材して自分史を作成するもので、ネット配信や学習プログラムなどを通じて、学生や子供たちにも伝えていく考えだ。