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福島県相馬市の小学生を葛飾に招待 〝海育ち〟の本領発揮、地元の子とも交流

 葛飾区市民活動支援センター(葛飾区立石)で毎月1回、世代を超えた交流会を開いている「たまり場カフェ・葛飾」が8月12、13日に福島県相馬市の仮設住宅に住む小学2~4年生の児童12人を東京に招き、同区の小学生らとの交流を図った。カフェのメンバー・西野智博さん(77)が考案した白地図に絵を描く「輪郭画」を、相馬市と葛飾区の子供たちが描いて開いた「地図輪郭画コラボ展示」に合わせての招待。
 カフェの松島義雄事務局長(64)によると、事前に行きたい場所についていくつか候補を出したところ、福島第一原発事故の影響で外遊びができないでいる子供たちからは、「水元公園で水遊びしたい」という答えが一番多く、12日に到着した子供たちはまず水元公園(同区水元公園)へ。
 震災前は海の近くに住み、水に慣れ親しんで育った漁師の家の子が多く、公園では待望の水遊びに大はしゃぎ。12人中11人が女の子だったが、ウシガエルのおたまじゃくしを素手で捕まえ、「釣りがしたい」と言っては、拾った木の枝とクリップで竿(さお)を作って釣りをしてみせた。また肉の多い弁当を用意したところ、2年生の女の子が「私、お魚がないとテンション上がんないのよねぇ」とつぶやいて大人たちを笑わせたという。
 移動先の柴又の帝釈天では、厄除(よ)けの神様だと聞いいて、自分の小遣いでさい銭を入れ、津波や震災が来ないようにと祈った。
 この後、輪郭画の展示をしている支援センターで、葛飾の小学3~6年生の子供たち10人と手作りの名刺を交換。ゲームや葛飾の紙芝居などを楽しんで交流を深めた。夕食には、カフェのメンバーで割烹(かっぽう)料理店主人の伊藤誠さん(60)が、葛飾産の小松菜を使ったコロッケなどを振る舞った。
 宿泊を受け入れた同区東新小岩の信隆寺は、本堂にグランドピアノがあるなど音楽が楽しめる。この日は相馬の子供たちのために弦楽4重奏のミニコンサートが開かれ、珍しいお寺での演奏会に子供たちは夢中で聴き入っていた。就寝前には初めて経験する銭湯で汗を流し、枕投げではしゃいだ子供たち。寺からはライトアップした東京スカイツリーを見ることもできた。
 翌13日は、葛飾区役所で副区長らと対面。最後に文京シビックセンター(文京区春日)の25階からの東京の眺めと食事を楽しみ、帰路に就いた。
 今回の招待には、予想した以上に多くの問題が生じたが、「個人個人でたくさんの人が協力してくれた。人のつながりの大切さを知ったことも宝。子供の喜ぶ顔を見て、苦労も吹き飛んだ」と松島事務局長。「相馬に帰ってから、子供たちが家族に機関銃のように思い出をしゃべり続けたと聞いて、本当に良かったと思いました。こうして縁ができたのだから、復旧・復興が終わるまで、できることを長く続けたい」と、交流の継続を力強く語った。
 交流会は、福島の一般社団法人「震災支援ネット相馬」の高橋和美さん(63)が、知人の紹介で「たまり場カフェ」に参加したのがきっかけで実現した。高橋さんはNPO法人ワークシェアリング「この指とまれ」にも所属。がん患者のために創った「美楽来(みらく)るキャップ」を一般的に広めて患者が使いやすくしたい、被災者の就労支援にもつなげたいと活動しており、「たまり場カフェ」が東京での普及を支援している。購入の問い合わせは松島事務局長電話090・3452・4277まで。