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“生きる力”育む「マチナカレッジすみだ(仮称)」

 墨田区内で多世代交流と体験型学習を中心にした“市民大学”が10月5日の開校を目指して準備を進めている。「生きる力」を育むことをテーマに掲げた「マチナカレッジすみだ(仮称)」は、「大学」といっても、建物がある訳ではない。そんなハコを持たない学びの場の立ち上げに動いているのは、同区を拠点にまちおこしや青少年育成事業にかかわる若手起業家たちだ。
 「マチナカレッジすみだ」は、子供から大人まで幅広い世代が参加できる地域教育をシステム化しようという試みだ。地域で何かを伝えたい、自分の知識や技術を還元したい、という人材を講師として活用し、地域と有意義にかかわりたい、学びたいという人を、講座を通じて結びつける。地域課題の解決や学校教育では子供たちに教え切れない分野を地域が支援するといった役割も意識している。
 この仕組みを考案した平野豊宏さん(49)(墨田区錦糸)は、地域活性化コンサルタント、起業家などを経て、昨年NPO法人「地域コミュニティ研究所CicoLavo(チコラボ)」(墨田区錦糸)を立ち上げ、墨田区が展開する教育事業「学校支援ネットワーク」の中で小中学校にワークショップ形式の授業を提供している。講師を引き受けてくれる人と学校をつなぐコーディネーターとしての役割を果たす中で、さらに一歩進んだ地域内での学びの場づくりを構想していたという。
 同じ墨田区で、出張授業や授業開発支援などを行う鈴木篤司さん(40)(NPO法人「サウザンドポート」代表理事)が平野さんに出会ったのが、墨田区主催の「すみだガバナンスリーダー養成講座」の活動報告会だった。既存の学校では十分に教える余裕のない「生きる力」を子供たちに教えたいと考えていた鈴木さんに「平野さんのプラットフォーム的な“学校”の構想に、自分のコンテンツを乗せるというアイデアがうまく合致した」という。この時の出席者に地域プロモーションの会社を起業し、墨田区内の企業を顧客としている佐藤翔一さん(28)(「株式会社BOA」社長)もいて、後に「マチナカレッジすみだ」の経営企画を担当することになる。
 準備委員会はこのほかに、墨田区本所の事業所で企業の地域貢献事業のコーディネートなどを行う杉山香林さん(38)やグラフィックデザイナーの竹内亮裕さん(28)(台東区根岸)などを交えて今年の4月に発足した。
 新しい仕組み作りで話し合いを重ね、「生きる力」を育む学びの方向性として「論理的思考」「哲学的思考」「創造性・発想力」「地域的課題の解決力」の4分野を各“学部”として、それぞれの趣旨に沿った講座を展開していく予定だ。“キャンパス”は講座ごとに異なり、公共施設のほか神社や町工場なども候補に挙がっている。