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牛乳パックから和紙の小物入れ 不自由な目押し98歳女性が作り続ける

 葛飾区立石の水戸あさよさんが、牛乳パックと和紙を使って制作した小物入れが、東京都民銀行立石支店(立石7の3の18)の一角に展示されている。地域の利用客らの趣味の作品などを展示するコーナーで、これまでも書道や油絵などを1か月程度ミニ個展形式で展示。利用客にも人気で、あさよさんの作品も「すごいわね、欲しいわ」という声が聞かれるという。
 あさよさんは大正3年生まれの98歳。娘時代から縫い物が大好きで、家族の着物などを縫っていた。結婚後は、仕立てから行う紳士服店を営む夫の仕事を手伝った。
 小物入れの制作を始めたのは17年ほど前。目を患い、得意の洋裁ができなくなってしまったのがきっかけ。認知症などの防止のためにも手先を動かした方が良いと考え、初めは編み物の講師をしている娘の知津子さんの勧めで編み物を試みた。が、目がほとんど見えないため、編み目が飛んでしまうと修正できない。
 そんなとき、知人にもらった手作りの小物入れを参考に自分で改良を重ね、現在のような小物入れを作るようになった。初めの頃は朝から晩まで夢中で作り、今までに「もう2千個は作ったのじゃないかしら」とあさよさん。
 15年ほど前に目の手術をしたが、経過が思わしくなく、次第に視力を失ってしまった。しかし、和紙の柄の選択や、牛乳パックを切る作業を知津子さんに手伝ってもらうほかは全て自身の手で作る。1枚の和紙をどのように切り分けて貼り付けるかも、見えていた頃に作った型紙を使いながら手の感覚でパーツに分け、ナイフを使って自分で切るのだ。
 作品は仕切りのない大小2サイズの小箱と、ペン立てタイプの計3種類。小箱は牛乳パックを8~10枚も使い、面をずらしながら貼り付けた頑丈なもの。ペン立てタイプは、牛乳パックの折り目を利用して、高さの異なる三角形やひし形を組み合わせて作る。「パックのどの部分を切るか」「和紙を無駄なくきれいに貼るためには」など作業は複雑。
 「目が見えないから、全て順序が決まっているんです。手の感覚でやっているので、道具も決まった所に置いて…。でも娘が掃除したりして動かしちゃうから、いつもケンカしてます」と笑う。
 「母はきちんとしていないと気がすまない性格。もともと手先が器用で、私たち3姉妹の洋服も大人になってからも作ってくれました」と知津子さん。趣味で作った革小物などは売り物になると言われたそうだ。「でも母はそういうことは嫌いで、全部人にあげていましたけど」
 今も、「作ったものを人にあげて喜ばれるのがうれしい」とあさよさん。「認知症にならないために作ったものでね。お陰様でこうやって生きていられると感謝しています。やらなかったらとっくにぼけていたと思いますよ」
 銀行での展示を勧められ、「1セットのつもりで、あとは社員の方たちにあげてくださいと言ったんですけど、全部飾られちゃって」と少し照れた様子。あさよさんの作品は2月1日まで展示される。