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浅草・墨田を電子ペンで案内 〝走るガイド〟の蓄積ノウハウ活用

 台東区と墨田区の観光案内施設で今月から「浅草・すみだ ワンコインガイド」の貸し出しを始めた。電子ペンと専用地図を組み合わせ、ペンで地図上の番号をなぞると、あらかじめ組み込まれた、人力車の車夫が蓄積したその地点の情報が音声で再生され、街歩きガイドになる。
 このペン型ツールは、観光人力車事業などで知られる株式会社「時代屋」(台東区雷門)が開発した。重さ約40グラムの電子ペンと専用地図でワンセットだ。ペンを地図上の番号に重ねると、118か所ある地図上の番号に重ねて刷り込まれた、見えない「ドットコード」をペンの先端のセンサーが読み取り、その部分に組み込まれた音声情報を再生する。
 外国人観光客の利用を見込んで、日本語以外に、英語・中国語(北京語)に対応し、〝走るガイド〟ともいえる人力車の車夫たちが仕事で使う観光情報が盛り込まれているのが特徴。
 同社観光営業部の坂巻潤さん(35)によると、「人力車の車夫は乗客を案内するために驚くほど勉強している。彼らが抱える膨大な情報は、移動中の短い時間で披露できるのはわずかだが、『ワンコインガイド』なら、車夫が足で集めた情報を時間を気にせず聞くことができる」。「ガイド」の編集作業は2011年末から始め、全項目について関係者から確認を取る検証作業に大半を費やしたという。
 実際に「ワンコインガイド」を使ってみると、1分前後の説明の中に、ゆかりの芸能人のエピソードや、紹介されたテレビ番組、隠れた見所など、聞き手の興味を引く内容が効率良く収められている。
 例えば、「六区通り」の説明を再生すると、芸能人の写真が飾られた街灯の中に一つだけ「予約済み」の表示がある理由を教えてくれる。浅草神社境内にある「両さん友情の碑」は、浅草寺観音堂付近の知られざるスポットだ。外国語版の説明では簡略化されている部分もあるが、「kochikame」の作品名に反応する海外のアニメファンもいるかもしれない。墨田区側でも、巨大滑り台で知られる「京島南公園」や、タワービューが楽しめるとして2年前に命名された「小梅牛島通り」など、移動する車夫の目線を感じさせる情報が満載だ。
 徒歩の観光客向けのガイドツール制作には、浅草の「回遊性」向上への期待もある。観光客でにぎわう浅草だが、訪れる客の多くが雷門をくぐって仲見世通りの往復で観光を終えてしまうのが実態で、浅草商店連合会が2009年から観光回遊性を課題として専門委員会を立ち上げ、様々な施策を打っている状況がある。
 浅草で営業を始めて17年目を迎え、同連合会に加盟する同社にも、こうした地元の状況は以前から耳に入っていた。観光客に街歩きを促す簡便で使いやすいツールの開発には「浅草に貢献したい」という思いもあるという。

 浅草・すみだ ワンコインガイド 1セット1日500円(保証金2000円は返却時に返金)。貸し出し施設は、浅草文化観光センター(貸出し時間=午前9時~午後7時、電話3842・5566)、吾妻橋観光案内所(同=午前10時~午後5時、電話6658・8097)。