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江戸川区で「ペットクラブ」連携の動き

 犬や猫を飼う人は日ごろ、動物が苦手な人からの苦情や好意的でない態度に出会うことがある。内閣府の世論調査(2010年)ではペット飼育について「嫌い」と答えた人は25・1%と減少傾向にあるが、それでも全体の4分の1を占めている。家族同様のペットを周囲の人にも大切に扱ってもらいたいというのが飼い主の願いだが、集合住宅や住宅が建てこんでいるところでは鳴き声や抜け毛の飛散のような、苦手な人とそうでない人の許容範囲の差が軋轢(あつれき)を生むことも少なくない。
 対策の一つに、大規模集合住宅では管理組合や飼育者が「ペットクラブ」をつくり、飼育世帯の加入・運営を義務づけているところがある。会則を決めて飼育マナーの徹底を図り、トラブル時の対応窓口を明確にするのが主な目的だが、運営方針や活動内容はペットクラブごとに異なる。また、いまのところ「ペットクラブ」自体になじみが薄く、戸建て住宅の飼育者やこうした組織体のない集合住宅では存在すら知られていないことも多い。
 一方で、地域環境の改善という視点から、ペットクラブや動物愛護ボランティアなどがつながりを作ろうという動きもある。約2万匹のイヌが登録されている江戸川区では、8年前に南葛西地域の複数のペットクラブなどで始まった連合組織が、現在は関係団体の広がりに合わせて「江戸川区ペットクラブ連絡会」(鈴木重鎭会長)として活動している。
 同会によると、ペットクラブ間の地域連携は、捨て犬、捨て猫の案件に悩んでいた「なぎさニュータウン」(江戸川区南葛西)のペットクラブが、近隣の公園に動物愛護呼びかけやペット情報専用の掲示板設置を行政に求めたことをきっかけに2006年5月、「南葛西ペットクラブ連絡会」の結成で始動した。加入団体には猫のボランティアも含まれ、江戸川区が飼い主のいない猫対策で2012年度から事業化した、不妊・去勢手術費用助成の試行事業にも協力した。今年1月には、NPO「江戸川区ペット(犬・猫)の愛護と地域共生を進める会」(伊藤稔理事長)を設立し、多様な団体を緩やかにつなぐ組織としての「連絡会」と役割を分けるかたちで、課題解決や啓発事業をNPOが進める。
 江戸川保健所生活衛生課によると、登録数に見る犬の数はこの5年でほぼ横ばいだが、ペット関連の苦情は近年増加している。特に飼い主のいない・分からない猫にかかわる内容が多い。同区では、ボランティアの管理下にあり地域住民の合意を得た「地域猫」に対して不妊・去勢手術の費用助成をするといった“共生型”の対策を取っているが、2013年度の実施分158匹は当初の上限(120匹)を上回る形になり、今後も対応が必要な地域が数多く控えている。同課では、ペットにかかわる業務の増加に対応するため4月から「動物管理係」を設けて、これまで飼育動物に関する案件の窓口となっていた「食品衛生係」から独立させた。
 動物が苦手な人を無視できない事情は、災害時にペットの同行避難が可能かという問題にもかかわる。「しつけができているかどうかは、飼い主ではなく社会が決めること。大地震が来て避難所に連れていく時に『あなたのワンちゃんと一緒ならいいわよ』と言われる子に変えてあげることは可能です」。こう語るのは幼犬期専門のしつけ教室「パッピーナようちえん」(江東区南砂)園長の鳴海治さんだ。5月18日に「新左近川愛犬の会」が新左近川親水公園で開催した「犬のしつけ教室」では、「『(飼い主に)身をゆだねて大丈夫』と思わせる信頼感を培うことがワンちゃんに言うことを聞いてもらう第一歩」と強調した。「飼い主がきちんと薬をあげられるように」と、獣医として26年以上前に自分の病院に犬のしつけ教室を設けた「みなみこいわペットクリニック」(江戸川区南小岩)の杉本恵子院長も「江戸川区や獣医師会主催のしつけ教室で語る際には『しつけはルールを守れるようにすること、それは自分の犬を守ること』を繰り返し訴えている」と述べている。