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撮ったスター1000人 〝伝説〟のマルベル堂カメラマン

 マルベル堂製「プロマイド」の専属カメラマンとして、約40年間にわたり1000人近いアイドルやスターを撮影した中村孝さん(65)が、4月20日にマルベルビル(台東区浅草)で開かれた「マルベル堂公認オフ会」で当時の思い出を語った。
 中村さんは1973年にマルベル堂(現在の株式会社マルベル)に入社。国民的アイドルとして絶頂期にいた天地真理の撮影が初仕事となり、以後、山口百恵、キャンディーズ、ピンクレディーら数々のアイドルやスターの撮影を手がけた。売り上げが人気のバロメーターにもなるトップアイドルのブロマイド撮影は、多忙なスケジュールの合間を縫って行われ、中村さんらがテレビ局で待機して10分程度で手早く撮ることも多かったという。
 短い撮影時間に垣間見たスターたちの素顔や裏話など、豊富なエピソードに事欠かない中村さんは、テレビやラジオの番組で当時の思い出を語る機会も少なくない。しかし、こうした情報を最も心待ちにしているのはアイドルたちのファンだ。「マルベル堂公認オフ会」は、インターネット上で知り合ったファン同士が企画した集まりで、中村さんはゲストとして2010年の第1回目から連続出演している。
 第5回目の20日は、「マルベル堂」新仲見世店の武田仁店長が進行役を務め、中村さんがプロジェクターで、かつて撮影した写真を投影しながら語り合う対談形式で進められた。石野真子さんの撮影は実家が全焼した翌日のことで、笑顔を引き出すのに苦労したこと、ブレーク前の「チェッカーズ」のメンバーにスタジオビル階下にある洋食レストランで500円ランチをごちそうして感激されたこと、当時17歳だった桜田淳子さんは、手鏡を膝に置いて自分でポーズを考えながら撮影に臨んでいたこと……。
 打ち合わせ抜きで見せられた写真にも、中村さんはよどみなくコメントをつけていた。「よく鮮明に覚えていますね」と言う武田さんに、中村さんは「当時は緊張していましたから。緊張している時のことは何年たっても記憶しているものです」と答えた。
 この日は、終了後にマルベル堂の所蔵品の一部が公開され、中には美空ひばりさんのブロマイドのガラス乾板ネガなど貴重な品も披露された。