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扇子に江戸文字描いてみた 江戸博の体験講座で来館者が挑戦

 江戸東京博物館(墨田区横網)の常設展示室内で、墨田区内の職人が来館者に伝統技術を教えるワークショップ「伝統工芸を体験してみよう!」が行われ、2月2、9日には参加者が扇子に江戸文字を描く作業に挑戦した。
 この体験講座は、文化庁の「文化遺産を活(い)かした観光振興・地域活性化事業」の助成を受けて初めて実施。同博物館は、ものづくりの盛んな墨田区で活躍する伝統工芸職人を講師に、来館者が館内の展示鑑賞の合間に1時間ほど、技術の一端に触れてもらおうと、「江戸文字」と「木目込み」の技法を伝えるワークショップを企画した。
 「江戸文字」は、江戸時代に芝居や寄席などに使われた図案化された文字。これを教える「アトリエ創藝館」(同区横川)の大石智博さん(52)は、提灯(ちようちん)に文字を描き入れる専門職人で、地域では〝提灯屋さん〟として知られ、自分の工房での小中学生の体験学習の受け入れや、墨田区伝統工芸保存会会員として東京ソラマチ内「すみだ まち処(どころ)」での実演など、伝統技術を広く伝える活動にも積極的に携わっている。
 2日の初回のワークショップでは、30人余の参加者が白地の扇子に それぞれ好きな字を江戸文字にして描いた。文字の原案を描く用紙には、舞台の座席表を正方形の枠で囲んだものが刷り込まれ、大石さんは「墨で塗られた部分を〝客で埋まった席〟とし、余白(空席)を作らないように、江戸文字はできるだけ太くする」といった、興行の成功を願う縁起物としての意味合いを説明した。
 参加者の中には、塗装業の関係者の姿もあった。「日本塗り替え研究会」の辻村岳さん(34)(静岡県浜松市)は、他の会員ともにテーブルを囲みながら自分の名前を扇子に描いた。「江戸文字は今回初めて知ったが、ルーツなどは興味深く、墨で字を太く塗る作業も面白かった」という。 
 また、作品が完成に近づいた段階で、大石さんに手直しを依頼する人も。文字の縁を少しなぞり、はね具合を直すと、一気に江戸文字らしい雰囲気に変身。「あ〜、良くなった」と依頼者は喜んだ。
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 体験講座「木目込み鞠(まり)を作ってみよう」は、23、24日の午前11時、午後1時30分、3時30分。参加費無料(常設展入場料は必要)。各回先着30人(申し込み不要)。詳細は、博物館電話3626・9974。