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専門家が「旅客化」を解説 第2回「新金線ツアー」

 葛飾区内を南北に走る貨物線「新金線」(JR総武本線貨物支線)を経由して、松戸駅と成田駅とを往復する「新金線乗車日帰りツアー」が4月21日行われ、約400人が参加した。主催したのは、同貨物線の旅客化の可能性を探る「これからの新金線を考える会」。
 同ツアーは昨年に続き2回目。今回は朝から小雨模様だったが、乗客たちはめったに体験できない新金線からの景色を存分に満喫。途中、車内では、旅客化の路線イメージを包み紙に記した「旅客化実現弁当」を味わったり、東京理科大学の内山久雄教授(工学博士)による旅客化に関する解説に耳を傾けたりした。

内山教授が語る三つのポイント

 内山教授は交通や都市計画の専門家。新金線旅客化に関して、「運輸経済研究センター」(現・運輸政策研究機構)が行った1995年の調査にも、専門家の一人として携わった。
 この日、内山教授は車両内を巡り、旅客化における3つのポイントを乗客に説明した。
 まずひとつは、貨物専用路線としての現在の役割を見逃せないこと。運行数は1日数本に過ぎないものの、「隠れたウエートがあり、役割を果たしている」。運行時間帯を深夜に移すなど、影響を少なくする策はあるかもしれないが、貨物を完全にやめることは難しいはずと説く。
 第二は、以前から懸念されている水戸街道(国道6号)との平面交差の問題。1時間に往復8本と少な目にダイヤを組んでも、国道が「かなりの頻度で遮断されることになる」。車の交通量も以前ほど多くなく、貨物列車が数本走るだけの現状では、国土交通省道路局のランキングで「立体化は最優先に位置づけられていない」こともいたし方ないところ。
 一方、明るい案件として内山教授が掲げたのが、「都市鉄道等利便増進法」の活用だ。この制度は、都市鉄道の既存路線を新線で結ぶことによる速達性の向上などで「周辺の鉄道利用客に利便が及ぶならば適用してもいい」というもの。
 実際に認定を受けるには、採算性など細部にわたる取り決めがあり、また、「法律の精神は広域的な便益が及ぶもの」であるため、沿線住民の〝恩恵〟を前面に出すこともできないが、整備費の3分の2が国などによって補填(ほてん)される点は大きな魅力。同制度は2005年の施行で、新金線旅客化の調査が行われた04年にはなかったものだ。
 個人的にも旅客化を応援していると話す内山教授。観光客の利用も重視したうえで「つくばエクスプレスみたいな、スマートでビューといく(高速・最新鋭の)鉄道ではなくて、ローカル色豊かな、これぞ下町の葛飾を表わす鉄道だ、というのができたらいいなと思います」と、自身が描く旅客化案も述べていた。