top

家族の食卓が変われば給食も変わる

「日本茶教室」で日本茶インストラクターから茶種の説明を受ける子供たち(昨年10月27日に実施した墨田区立錦糸小学校の様子)

「日本茶教室」で日本茶インストラクターから茶種の説明を受ける子供たち(昨年10月27日に実施した墨田区立錦糸小学校の様子)

牛乳調味品「ミルメーク」。給食用は、冷たい牛乳が飲みにくくなる冬場に需要が増える

牛乳調味品「ミルメーク」。給食用は、冷たい牛乳が飲みにくくなる冬場に需要が増える

蒸す・焼くが1台でできる「スチームコンベクション」(清和小学校調理室)

蒸す・焼くが1台でできる「スチームコンベクション」(清和小学校調理室)

学校給食今昔よもやま話

 家族の食卓が変われば給食も変わる

 

  家庭の食卓の風景が時代とともに変遷するように、学校給食の“常識”も時とともに変化する。各校の給食の取り組みを紹介する「学校給食展」を38年間続けている(今年は第39回になる)葛飾区を例に、給食の今と昔を比較してみよう。(協力=葛飾区教育委員会学務課)

 

食パンに小袋ジャムは昔の話

 

 小さな袋に入ったイチゴジャムを自分の好みに合わせて食パンに塗る。厚塗りにしたり、全体にうすく塗って残りを袋から直に食べたりと、ささやかな自由を楽しんだ小学生も多かったのではないだろうか。

 今は食パンにつけるジャムも調理室で塗られてから教室に運ばれるという。食パンをそのまま出すこと自体が少なく、ツナやマヨネーズ、野菜を載せて焼いた「トースト」にするなど工夫が凝らされている。少子化の影響で、葛飾区でもかつては1000食規模の学校があったが、現在は最大でも小学校で約800食、中学校は約600食にとどまる。以前に比べて作る量が減ったことで、個数ものに手間をかけられるようになった。

 

まだあるの?

なつかしの給食用食品

 

 そんな小袋ジャムもインターネット通販など、商品としては健在だ。給食用ジャムを扱うメーカーの一つ、両角ジャム製造所(港区白金)によると、現在は病院や介護施設への出荷が多いという。

 個包装ものが消えてゆくなかで「ソフトめん」は、各校ごとに栄養士が様々な取り組みを行う1月の全国学校給食週間で、「昔の給食」を取り入れる際に復刻メニューとして使われることがある。ただし現場の先生に「ソフトめん」を知る世代が存在せず、校長先生が全校朝礼で食べ方を説明した学校もあるようだ。

 牛乳に溶かして飲む「ミルメーク」は大島食品工業(名古屋市)が1967年にコーヒー味を販売して以来のロングセラーだ。同社によると、給食に使われる「ミルメーク」粉末5㌘、パック牛乳用のチューブ12・5㌘の出荷量は、年間約1500万袋(2013年度)を数える。約20年前の約2600万袋と比べると半分だが、根強い人気が伺える。1993年から一般向けの販売も始め、コーヒー、ココア、イチゴなどの定番に加えてバナナや紅茶なども登場した。販売量のピークが異なり、一般向けは夏だが給食用は冬に最もよく売れるという。

 

最新調理機器は

給食作りの現場でも活躍

 

 家庭用の調理機器は日進月歩。買い替えのタイミングで家電量販店に行くと機能の進歩に驚くことも多い。給食現場で最近使われ始めている「スチームコンベクション」は、スチームオーブンの大型版だ。調理室に導入している葛飾区立清和小学校(同区立石)の筒井恵奈子栄養士によると、「オーブン」「スチーム」の機能を組み合わせた「コンビ」を使うことで焼き魚が短時間でふっくらと仕上がり、蒸し器などを使わずに蒸しパンやケーキなどを調理できるという。

 

生活から遠のく食材、

日本茶などを食育で学ぶ

 

 2009年に「食育の推進」が学校給食法に盛り込まれるようになってから、国や都の支援を受けた外部団体を絡めた食育にかかわる取り組みも多角的に行われている。

 葛飾区では昨年1月15日に全小中学校75校で「乾(ほし)しいたけ一斉給食」が行われた。「日本産・原木乾しいたけをすすめる会」が林野庁と連携し、消費の減少している乾しいたけの消費拡大につなげるため実施したものだ。同会では同区立北野小学校(同区柴又

3区の公立小中学校で行われる「全校一斉小松菜給食」。江戸川区立小松川小学校では献立に「小松菜入りライスコロッケ」と「小松菜ペペロンチーノ」が登場した(昨年12月3日)

3区の公立小中学校で行われる「全校一斉小松菜給食」。江戸川区立小松川小学校では献立に「小松菜入りライスコロッケ」と「小松菜ペペロンチーノ」が登場した(昨年12月3日)

)と協力して12年から原木しいたけの栽培を始め、研究員によるきのこの出前授業や料理研究家を招いた「きのこ対談」なども行っている。

 急須で日本茶を入れる習慣のない家庭が増えている。東京都茶共同組合(港区)が都の補助金を受けて実施している食育授業「日本茶教室」は、茶小売店の組合員や「日本茶インストラクター協会」東京都支部から派遣された講師が、都内の学校でお茶のおいしいいれ方を子供たちに教える。祖父母など日本茶を日常的に飲む家族が同居していない、母親が急須でお茶を入れる時間的余裕がないなど自宅で日本茶を飲まない子も多く、終了後に「家族のためにお茶をいれてください」と持たせるおみやげは保護者からも好評だという。

 

地産地消の実践

 286校で小松菜一斉給食

 

 地域で生産される小松菜に関心を持ってもらいたいと、08年度から江戸川区(07年度開始)・葛飾区・足立区の全小中学校で実施される「全校一斉小松菜給食」。JA東京スマイル(葛飾区白鳥)が無償提供する小松菜を各校で様々な料理にする。14年度は12月3日に3区で計286校、児童・生徒13万2526人分の小松菜約4・9㌧が給食で使われた。決められた日に大量の小松菜を確保する必要がある同事業は生産農家の奮闘の上に成り立ち、6年以上続く名物となっている。