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大規模施設に住民は不安

 江東区越中島で大規模なトラックターミナルの建設がはじまり、近隣住民から排ガスや日照など生活環境への影響を心配する声があがっている。
 建設中の建物は、物流会社の福山通運東京支店が、建物の老朽化にともない、耐震性の強化や作業効率を高めるなどの目的で建て替えるもので、計画では広さ約2万2千平方メートル、高さは以前の15メートルから43メートル、屋上はトラック(2トン、4トン)約200台の駐車場になる。
 建設地に隣接している集合住宅「越中島3丁目ハイツ」には、464世帯、約1000人が暮らす。昨年2月に行われた1回目の説明会で計画を知った住民は、その建物の大きさに驚きと不安を感じ、3月に「福山通運による環境破壊から住民を守る会」を立ち上げて規模の見直しなどを求めてきた。
 福山通運は、計画内容などの近隣住民への説明を、建築士事務所ユーエスアイ・エンジニアリング(中央区日本橋)に委任。ハイツの住民に対しては、4回の説明会と守る会との間で4回の協議会、都の「あっせん」などの話し合いの場が設けられている。
 守る会の白井正信共同代表は、「いちばん心配なのは子供たちの通学」と話す。福山通運側は、第3者機関による建て替え後のフル稼働時を想定したシミュレーションを示し、完成後のトラックの入出庫台数は、1日当たり1488台、ピークとなる午前8時台の1時間は225台と算出している。
 建て替えでは、交差点に面した以前は高さ2メートルほどの塀であった部分を、人の目線より低い植栽帯などにし、ターミナル車両の出入り口がある南東側の道路は、交差点の他の3方向に比べて道幅が狭いこともあり、自社の敷地を1メートル提供し、歩道が約3メートルになるよう変更。「歩行者や車の見通しが格段によくなる」と説明する。
 しかし、建設地の周辺には、保育園から大学まで様々な教育機関があり、小、中学校はハイツと隣接。近くには入居1千世帯近いマンションもあり、建設地に面した歩道は子供たちの通学路にもなっている。
 守る会の行った交通量調査では、通勤・通学のピークである午前8時前後の1時間に、建設地脇にある交差点を利用する歩行者・自転車は延べ5423人。福山通運側の一角は、横断歩道を渡ってきた通学の生徒らが歩行者を避けるために、片側1車線しかない車道を自転車で走る姿が目立つ。
 このため守る会では、歩道の幅をさらに広げ、歩行者と自転車の完全な通行区分を実現するなどの提案を盛り込んだ陳情書を昨年末、江東区長あてに提出した。
 また、大気質や月ごとの日照に関しても基準値内と試算されているが、福山通運の敷地は「準工業地域」、ハイツの敷地は「第1種住居地域」と、用途が異なるため、守る会では、「適法というだけでは納得できない。決して自分たちの問題だけではなく、今後も起こりうる問題」と、まちづくりに関する条例などの見直しを行政に求める声もある。
 住民が福山通運に対して抱く不信感には、過去30年にわたる騒音問題も大きく影響している。同区環境保全課によると、記録として残っている範囲でも2004年から確認でき、年に2、3度、48時間の測定を行ったところ、ほとんどの時間帯で基準値を上回っていた。特に深夜の作業時の突発的な金属音などが住民を悩ませ、07年と09年には、文書による指導も行っている。
 福山通運側は、以前の建物は開放型で、「今まで騒音ではご迷惑があったのは間違いない。建て替え後は建物全体を壁で覆う形に変更するため、音が漏れることはほとんどない」(ユーエスアイ)と話す。
 昨年11月、建築確認申請の認可が下り、計画通り着工したが、敷地内の掘削で土壌や地下水から有害成分を含む異臭が発生。一時は頭痛や吐き気を訴える住民も出た。
 建設会社による説明会も行われ、臭気も収まってきたが、守る会は、「いちばん近い1号棟には1歳に満たない赤ちゃんもいて、臭気を抑えるための薬品の飛散も心配」と、より詳細な情報の開示を求めている。