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壁紙に鉛筆で描く葛飾の保存樹

 葛飾区内の保存樹を描き続けるアマチュア画家、片亀孝一さん(73)の個展「葛飾に今も生きている 保存木鉛筆画展」が6月8日から16日まで、亀有地区センター(葛飾区亀有=「リリオ館」7階)で開かれる。6Bの鉛筆で微妙に凹凸のある壁紙に描くという独自の手法により、樹皮の濃淡をリアルに表現した30余点を展示。今年4月、新小岩地区センターでの初の個展に続いて、片亀さんにとっては2度目の個展となる。
 片亀さんは群馬県の出身で、19歳のころから同区新小岩に在住。若い頃から絵を趣味とし、とりわけ下町の路地裏や大木のある風景を好んで描いてきたという。定年退職した65歳以降はより絵を描く機会を増やしてきた。
 保存樹を意識して描き始めたのはここ3年で、きっかけは区登録天然記念物でもあるサイカチの木(同区西新小岩)を偶然見たことから。80年前落雷に見舞われながらも、腐ることなく新たな幹が下から伸びており「まっぷたつになってもまだ生きるその生命力に感動した」。
 同区には保存樹が約1300本あるが、片亀さんは好天の日を狙って自転車でそれらを訪問。写真から絵を起こす画家もいるが、「大げさに言うと木の息吹や息づかいを感じてスケッチしたい」との思いから、一日かけてスケッチするのが〝片亀流〟。神社仏閣のほか、個人宅を訪ねてお願いすることも多いが、「家主の方から木にまつわる話を聞くこともあって、それがまた楽しい」。100年以上その地で育ってきた木々は「(今の人々が)見ていない世界を見ている」と思うと、敬意のような感情も沸いてくるという。
 スケッチを持ち帰ってからは、一週間ほどかけて壁紙に鉛筆で清書。1ミリ以下の細かな凹凸が並ぶ壁紙に絵を描く技法は片亀さんの〝発明〟だが、きっかけは小学生の孫が自宅の壁紙に落書きしたことだった。その濃淡の様子を見て早速試してみると「平坦な紙より木肌、木の皮の明暗がうまく表せる。これはいけるんじゃないかと思ってね」。
 枝や幹の姿を捉えることに重点を置いていることから、葉が散った秋にスケッチすることが多い。その質感を見事に表現した鉛筆画は、新小岩での個展でも「珍しい」「ぜひ続けてください」と大好評。教室を開いているプロの画家から「生徒たちに教えてください」との依頼もあったとか。
 今回は、新たに亀有のゴヨウマツ(区登録天然記念物)を加えた全33点を展示。また、定年前に描いた油絵の大作を会場内のアクセントとして飾る構想もある。なお、片亀さんは今後も「区内で声があれば」展示を前向きに考えたいという。
入場無料。午前10時~午後5時。問い合わせは亀有地区センターTEL3601・6790。