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地域の障害者に就労機会を提供

「街で見かけるこの看板

私たちが作ったんです」

地域の障害者に就労機会を提供する

イーストフライト(江戸川・小松川)

 

ここは江戸川区小松川。旧中川沿いの賃貸ビルの中に就労継続支援A型・B型多機能型事業所「イーストフライト」(江戸川区小松川)はある。ここでは約20人の利用者が企業のパネル広告や展示会の掲示物などを作っている。

ロール型貼り込み機で看板製作の作業をする利用者

ロール型貼り込み機で看板製作の作業をする利用者

一般社団法人アースベースが運営するイーストフライトは、かつて看板製作会社を経営していた黒田修代表理事が、障害者の就労支援をしたいという強い思いから昨年2月に設立した。主な仕事は、コンピューターから出力したデータを大型印刷機でフィルムに印刷してラミネーターでパネルに貼り付ける作業だ。最新式のロール型貼り込み機を使用することで、失敗のない確実な仕上がりとなる。作業は障害の特性に応じて分担し、利用者の中には得意分野を生かして出力データのデザイン作成だけでなくホームページ運営や3Dデザインなど仕事の幅を広げていく人もいる。これまでに駅の広告や店舗の窓装飾などのほか、葛西臨海水族園「マグロ博」の展示パネルも手がけた。「街角で仕事の成果を見ることができ、『自分がやった』という達成感が利用者の喜びにつながっている」と黒田さんは言う。

 

精神障害者の地域移行を支援

ヒーライトねっと

 

専門性の高い障害者福祉分野への参入は、それまで縁の無かった人には容易なことではない。一般企業の経営者だった黒田さんが事業所を開設できた背景には、平井・小松川地域で精神障害者のグループホーム運営や生活訓練・生活介護事業などに携わるNPO法人ヒーライトねっと(同区平井)の協力があった。

障害福祉サービス利用時の相談支援も行うヒーライトねっとでは、長期入院やひきこもりの状態にある重度の精神障害の事例も扱い、2年の期限を設けて地域とつながりのある生活に戻す“通過型”の支援体制を取っている。個々の利用者に合った環境づくりを進めるなかでは福祉関係以外の場所や人とのつながりも必要で、そのため職員が地域で人脈を築き、SNS(ソーシャルネットワークサービス)なども活用している。

河野文美ヒーライトねっと理事長によると、活動に協力してくれる水辺環境のボランティアグループの関係者から黒田さんを紹介され、事業に本気で取り組む姿勢を知って法人設立にも力を貸した。

一方で、障害者の地域移行を支える取り組みは、方向性が見えても”行き止まり”になる現実も河野さんは指摘。例えば障害者が同じ立場の人を支援する「ピアサポーター」は、養成講座で資格を得たとしても雇用する側に財政的な基盤がなく活用が難しい。区市町村事業レベルでの支援につながることが望ましいが、「まずは現場のニーズを吸い上げて検討課題にする道筋が欲しい」と要望している。