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和太鼓グループ彩がプロ活動2年目に

 昨年4月、プロとして新たなスタートを切った葛飾区亀有が拠点の「和太鼓グループ彩(さい)」が、結成10年目を迎え、さらなる飛躍に向けて動き出した。昨年4月からの1年間でホールでの単独公演を10公演こなしたが、今後1年では12公演を予定。テレビ番組やCM出演も増え、活躍の幅を広げている。
 「彩」のメンバーは19歳から27歳までの男性11人で、全員が横浜市の桐蔭学園高校和太鼓部に籍を置いていた。桐蔭学園といえば進学校として知られており、メンバーは東大卒の3人を筆頭に筑波大卒、早大卒など、それぞれ有名大学の出身、または在学者だ。
 2005年、東大入学とともにサークル「彩」を4人で発足させた代表の葛西啓之さん(27)は、卒業後は大手広告代理店「電通」に就職したが、和太鼓への情熱が強すぎて昨年3月に意を決して退職。「彩」をプロのグループとして再出発させる。これに呼応する形で、メンバー10人(当時)のうち3人が会社を辞め、卒業を控えた学生2人が就職せず「彩」に専念する道を選んだ。
 亀有とのかかわりは11年7月、パフォーマンス集団「亀有パフォーマンスパーク」と知り合い、路上ライブを行うようになってから。次第に亀有でのファンが増え、100人を超える人だかりができるまでになった。「ほかの街でやるのとは反応が違う」と亀有との相性のよさを感じた葛西さんは12年10月、大きな決断をする。亀有での公演をより充実させるため、同区西亀有でメンバー4人の共同生活を始めたのだ。1年半がたった今は「ここを拠点にやってますと言えるようになりました」。
 芸能事務所に所属せず、公演の企画運営、ファン作りまで全てを自分たちでこなす。経済的には決して豊かではないが、苦労もいとわない気持ちの根幹にあるのは、和太鼓にかける熱い思い。会社を辞めた時は両親から「2度と帰ってくるな!」と激怒された葛西さんも、真剣な姿勢が伝わってか、今では両親が公演に足を運んでくれるようになり、「恥ずかしい半面うれしいです」。
 公演では伝統的なスタイルにこだわらず、例えば篠笛(しのぶえ)のメロディーを前面に出したストーリー性のある演出や、タンバリンなど洋楽器の導入、時には寸劇の要素を取り入れたりと、自由な発想で観客を沸かせる。「太鼓でどこまでできるのか。いろいろな可能性がある楽器」とその奥深さを語る葛西さん。観客が「明日も頑張ろうかなと元気になってくれれば。そう思ってもらえるツールは、和太鼓がいちばんかなと思ってます」。
 プロ1年目には200回を超えるイベントに出演し、単独公演にも力を注いだ。春のツアーでは1200人以上を動員。かめありリリオホール(同区亀有)での2度の単独公演はともに600席を埋めた。オリジナル曲は現在約20曲。今後は集大成となる3回の単独公演を控えており、この5月の筑波を皮切りに、湘南、そして7月の亀有と続く。
 「耳で心地よい音楽が成り立っている」ことはもちろん「全身で表現したパフォーマンスで感動をお届けする」ことが同グループの信条と葛西さん。全国ツアー、そして世界ツアーと将来の夢を語りつつも「まずは自分たちの生活を成り立たせないと。和太鼓をやっていかに安定した生活が送れるかを強く意識して、継続的に発展していきたい」と、土台を固めたうえで着実に前に進もうと考えている。