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南極にすむオセレイテッド アイスフィッシュ 世界初 水槽内で産卵

 葛西臨海水族園(江戸川区臨海町)で、南極周辺にすむコオリウオ科の1種「オセレイテッド アイスフィッシュ(ジャノメコオリウオ)」が産卵したことが、1月13日に確認された。現在、コオリウオ科の魚を展示する水族館は世界で同園だけで、産卵事例は今回が初めて。
 同園にいる「オセレイテッド アイスフィッシュ」は、南極海で日本水産株式会社のオキアミ漁船がオキアミと一緒に捕獲した。船内の水槽で約2か月飼育しながら、南米チリの南端にあるプンタアレナスまで運ばれたものを葛西臨海水族園のチームが受け取り、2011年8月19日に同園に搬入した。その2個体(オス・メス各1匹とみられる)のうち、1匹を同月24日から一般展示した。
 昨年12月上旬から展示水槽に移したオスが水槽の底に巣穴を作る行動が増え、体色の一部が変化するなどの兆候が見られたため、予備水槽で別に飼育していたメスを同居させた。2匹が一緒に行動する様子などから、産卵が近いと判断し、ビデオカメラを使い、昼夜の観察を続けていたところ、1月12日深夜に産卵していたことが分かった。

飼育始めて1年5か月
稚魚誕生は6か月後?

 昨年5月末に2匹を同居させた時には、メスが威嚇してオスの接近を許さず、「とても産卵を考えられる状況ではなかった。水槽内の条件に変化があったわけではないので、今回は機が熟したということでしょう」と、同園の関係者は言う。
 同園によると、同園以外に唯一コオリウオの飼育事例があるジェノバ(イタリア)の水族館では産卵は報告されておらず、専門家の意見も含めて「水槽内で産卵した例は世界で初めて」としている。
 産卵したものが受精卵であることは確認済みで、極地の魚の孵化(ふか)は海水魚よりも長期に及ぶため、稚魚の誕生までは約6か月を見込んでいる。卵は、一部を別の場所で育成しているが、展示水槽でメスが卵を守っている様子を見ることも可能で、胸びれであおるように巣穴に水を送る姿が時折観察できるという。