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冊子「NL通信」が50号

 NPO法人「ネイチャーリーダー江東」が発行する冊子「NL通信」が、約17年の歳月を経てこのほど50号を迎えた。「自然と人間の共存する地域社会を江東区に実現する」目標のもと、会の活動を牽引(けんいん)する現会長の阿河眞人(あがまひと)さんは、この節目の冊子のなかで活動を振り返っている。
 同会は区主催の第1回「ネイチャーリーダー講座」受講生約30人で1997年4月発足。当時の名称は「ネイチャーリーダー協議会」。現在、会員約50人で、環境における調査、保全、教育、政策提言の4つが活動の柱だ。
 調査活動では、毎年12月23日に継続実施している冬の水鳥調査を始め、植物、昆虫などのデータ収集、さらに外来種のザリガニの調査や捕獲もその活動の一端。保全活動では、区内最大のエコスペース(ビオトープ)である「荒川下流エコスペース」(同区新砂)と、「仙台堀川公園ポケットエコスペース」(同区東陽)を管理。教育活動では、区からネイチャーリーダー講座や自然観察会を受託し、学校や幼稚園でゲストティーチャーも務める。
 こうした活動を会員相互で共有する会員報として97年10月に創刊されたのが「NL通信」。B5判のサイズは変わらないが、当時は中面モノクロの簡易印刷で、表紙のみカラーコピーの手づくりだった。近年は全面カラーの印刷物となり、観察会参加者らに渡す活動紹介ツールとしても活用。区の施設「えこっくる江東」(環境学習情報館=同区潮見)にも常備して一般区民も入手できる冊子になった。
 現在の制作部数は約400部。5月30日発行の50号は全20ページで、メーンは会員の荒川洋一さんが1年間のデータをまとめた「仙台堀川公園野鳥生息調査中間報告」。また、同会主催「秋に鳴く虫の観察会」など催しの様子を伝える写真や子供たちの描いた植物や昆虫の絵を載せたページも。会員からの寄稿は、沖縄の珊瑚(さんご)レポートからCD紹介までバラエティー豊かだ。
 そして冒頭見開きの「NL通信50号をむかえて」で阿河さんが強調したのは「生物多様性の考えが組み込まれた街づくり」。2020年の東京オリンピック開催は、環境変化の懸念がある半面、「生物多様性豊かで区民と自然が共生している街を創り出すチャンス」とし、「区民や行政に対し、強いメッセージを発信していくこと」が必要と説く。
 また、阿河さんは、2020年は、第10回生物多様性条約締約国会議(COP10=2010年名古屋市で開催)で合意された「愛知ターゲット」の目標年であることを指摘。政策提言は同会の活動の柱の1つだが、区内の環境関連団体でつくる連合組織「生物多様性チーム江東」でも阿河さんは代表を務めており、現在この組織で「江東区版生物多様性地域戦略」の市民案策定を進めていることに触れている。
 江東区は「CITY IN THE GREEN」(緑の中の都市)を政策として掲げており、ここ10数年の環境変化でいえば、特に臨海部の大型公園の樹木が育ち、樹液を吸う昆虫類を見る機会も増えたと評する阿河さん。ただ、緑を増やすことを単に良しとするのではなく、多様な生物がかかわりをもって共存する生物多様性の考え方が「基礎としてあるべき」だとも。同会としては今後「生物多様性」の考え方をより区民や行政に浸透させるべく努め、また大学生など青年層が対象の講座にも力を入れて後継者育成に励みたいという。