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伊福部ワールド全開

 日本の“怪獣映画”の元祖、「ゴジラ」が2月1日、すみだトリフォニーホールでよみがえった――。この日、同ホールで行われたのは、「伊福部昭百年紀コンサートシリーズVol.1」と銘打たれた公演。内容は映画音楽を組曲として構成し直し、コンサートで演奏しようという試みだ。
 こうした演奏会が企画されたのは、作曲家、伊福部昭(1914-2006)の生誕100年を記念するため。伊福部昭は現代音楽の作曲家として、また、著書の「管絃楽法」や東京音楽大の学長も務めたことなどで音楽教育の分野で業績を残しているが、一般には映画「ゴジラ」(1954年)の音楽を担当した人として知られている。「ゴジラ」だけでなく、戦後の名だたる日本映画の多くは伊福部昭が音楽を付けているので、ほとんどの日本人はその名前は知らなくとも伊福部サウンドに親しんで生きてきたのだ。
 当日のトリフォニーホールは、クラシック音楽ファンに映画ファンも加わって大混雑。入り口では当日券を求める人たちが列を作り、開演前のロビーはゴジラ映画のポスターなどの展示物に見入る人であふれていた。そんな熱気に包まれつつ演奏がスタート。伊福部昭が初めて手がけた映画「銀嶺の果て」(47年)や鉄道の記録映画から採った「国鉄」、そして、“来るぞ、来るぞ、ゴジラが来るぞ”のフレーズが印象的な「ゴジラ」、さらに「海底軍艦」(63年)、「地球防衛軍」(56年)と続き、アンコールの「ゴジラvsキングギドラ」(91年)にいたると演奏者もがぜんヒートアップ。迫力のサウンドで聴衆を圧倒した。演奏したのは、この日のために結集した20 ~30代の若手演奏家で構成されたオーケストラ・トリプティーク(指揮=斉藤一郎)。若さにあふれた演奏が印象的だった(構成=鹿野草平、監修=井上誠)。
 このコンサートを企画した伊福部昭百年紀実行委員会の西耕一さんは「いまや『ゴジラ』の名は世界的なもの。ゴジラの音楽を、そして日本の音楽文化を世界へ向けて発信していきたい」と、今回の成功を受けてちょっぴり強気だ。当面、このコンサートシリーズの第2回は6月ごろの開催になるという。