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中学生10万人が聴いた!! 江戸川区

 江戸川区内の中学校にプロの演者が訪れ、生徒らが邦楽・邦舞の舞台を鑑賞する「日本のしらべ」が21年目を迎えた。10月10日に同区立小岩第五中学校(江戸川区鹿骨、成瀬一博校長)で行われた公演で、鑑賞した生徒数が延べ10万人を突破した。
 邦楽鑑賞教室「日本のしらべ」の取り組みは、同区小松川在住で、江戸川邦楽・邦舞の会代表の常盤津清若太夫さん(66)=重要無形文化財「常盤津」(総合認定)保持者=が「和の音楽に触れる機会の少ない子供たちに、日本に継承されてきた文化の良さを知ってもらえるよう鑑賞の機会を作りたい」と申し出たのがきっかけとなり、江戸川区教育委員会の事業として1992年から始まった。
 同区立中学校全33校を対象に、江戸川邦楽・邦舞の会や東都葛西囃子(ばやし)睦(むつみ)会に所属する演奏家・舞踊家らが毎年11校ずつ公演に訪れる。生徒が在校中に1度は舞台を鑑賞できるよう3年で1巡する周期で、11校分の生徒数は約4500~5500人。活動は20年を経過し、累計が10日で延べ10万191人に達した。
 中学生にとって、和楽器の演奏はCDやパソコンのダウンロードで自ら選んで聴くことの少ないジャンルだが、清若太夫さんは「ライブを聴くと楽しい。まず生演奏を聴いてほしい」という。鑑賞教室で生徒が体感するのは演奏の〝音〟だけではない。
 当日は日本舞踊専門の舞台設営業者により、体育館のステージは床に檜(ひのき)の所作台が敷かれ、中央に金屏風(びょうぶ)を立てた専用の舞台に変身した。開始直前には歌舞伎で開演を知らせる「着到」が流れ、劇場のような雰囲気を盛り上げる。
 聞き取りにくい台詞(せりふ)や専門用語は、舞台脇に置いたプロジェクターに字幕を表示する工夫も。目や耳を通じて多くの情報を2時間の公演中に伝えようという配慮が随所にあった。
 この日は、全校生徒513人の前で浄瑠璃音楽の一つである常盤津節や三味線、鳴物、琵琶、葛西囃子の演奏や日舞、獅子舞が繰り広げられ、演目の合間に代表生徒がステージの上で薩摩琵琶のバチ使いなどを学ぶ体験コーナーも設けられた。
 日本舞踊の体験に参加した3年生の岡田涼美さんは、足を踏み鳴らし「ヤットコトン」「ヤットントン」といった独特のリズムを表現する体験に、「それほど強く踏まなかったのに(檜の床から)大きな音が出たので驚いた。何もかも初めての体験で面白かった」と感想を話していた。