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“マスオさん”が「ことば」をテーマに葛飾・立石で講演

 アニメ「サザエさん」のマスオさんや「それいけ!アンパンマン」のジャムおじさんの声で親しまれている声優の増岡弘さんが「かつしかシンフォニーヒルズ別館」(葛飾区立石)で9月30日講演した。同区内で知的障害者の支援施設を複数運営する「社会福祉法人手をつなぐ福祉会」(根本文夫理事長)が、職員全体研修会として開いたもので、福祉に携わる約80人が耳を傾けた。
 講演のテーマは「マスオの人権問題学 ことばはプレゼント、美しい話し方を学びませんか?」。サザエさんのテーマで登場した増岡さんは、あいさつ代わりに「タラちゃん、今帰ったよ」とマスオさんの声を聞かせ、喉を乾かして「30年後のマスオ」も実演。サザエさんの逸話として、開始当初は半年の予定だったこと、初代カツオの声が大山のぶ代さんだったことなどを語り、2代目カツオの高橋和枝さん(故人)が降板したとき「カツオくんは69歳。年金をもらっていたのでございます」と笑わせた。その声優仲間たちとは「昔から使われている日本語を大切にしよう」と話しているという。
 言葉は一度口から出たら戻らず、人々の記憶に残ることから「自分の使った言葉は自分の部屋に積んであるようなもの。使った言葉の中に生きている」と増岡さん。母は子に「早くしなさい」と言い放った方が気持ちと一致して楽だが「お母さんは早い方がいいんだけど、何かお手伝いすることある?」との言い方を増岡さんは提案。山形の中学で講演時、騒ぐ生徒に対し先生が「みんなが一番静かだと思う雰囲気作ってみようか」と語った実体験を例に挙げて「言葉はこうありたい」。
 一方、日々の心がけに関して、夫婦仲を人生の基本と位置づけて「愛し続ける努力をすることを愛といいます」と強調。100点のみを幸せと思う「100点社会ダメですよ。カツオは平均30点」。メディアの情報より「身の回りにある幸せや良いこと、自分が自分に出す情報を大切にしませんか」と提言も。
 そのほか、貧しく弁当がない児童に「お弁当忘れたのか」と話した先生と「お腹いっぱいだからやるよ」と話した同級生の思いやりある言葉も紹介。言葉には温度があり「時には凶器にもなります。言い方、渡し方です」と説いた増岡さん。最後は言葉を「心のバレーボール」に例えてトークし、壇上でバレーボールのパスを演じてもらった協力者3人に、セル画や台本などを贈呈。拍手のなか90分の講演を終えた。