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フェンシング界の期待の星

 中学1年の新井謙信君(江東区新大橋)は、フェンシングのフルーレ種目で全国レベルの実力を持つ期待の星だ。小学生の全国大会で2度の優勝を誇り、昨年はハンガリーでの国際大会で日の丸を背負って戦った。東京オリンピック開催まであと6年だが、金メダルは「フェンシングをやっているなら目指すもの」と話す謙信君は、静かな闘志を胸に秘めている。
 フェンシングを始めたのは、立教小学校2年生の2009年11月。それまで通っていた囲碁教室を辞めるタイミングで母親が次の〝習い事〟をインターネットで探した際、江戸川区一之江が拠点のクラブ「フェンシングステージ」が目に留まり門をたたいた。ここの指導者が、ロンドン五輪団体銀の三宅諒選手の父・三宅正博さんで、基本をきっちりと教わることに。周囲は大人ばかりで小学生はいなかったが、「こういうものなんだ」と謙信君はその環境を自然に受け入れたという。
 初の大会出場は3年生になる春の地方大会だった。勝利を全身で喜び、また敗戦を泣いて悔しがる謙信君に、父親の達也さんは「こんなに勝ち負けにこだわる姿は、見たことがなかった」と我が子の新たな一面を知り驚いたという。謙信君自身も「何事にも勝ちたいタイプで負けず嫌い」と自己分析し、フェンシングは「勝つから楽しいと思う」。
 体幹を維持する能力が高く、バランスを保った美しい姿勢が持ち味の謙信君は、相手の剣を殺したうえでの切り返しなど、瞬発力やフットワークも武器。「全国少年フェンシング大会」男子フルーレで優勝したのは、小学4年(小学3・4年の部)と6年(同5・6年の部)のとき。6年生の11月にはハンガリーと近隣国の約60人が参加した国際大会にも出場し、身長が「170センチぐらいの人ばかり」の選手たちと対戦。謙信君は2000年と01年生まれの両方に特別に出場が許され、両方で準優勝を果たしている。
 現在は立教新座中学校(埼玉県新座市)に通い、同校伝統のフェンシング部に所属するほか、学校以外でも個人指導を受けている。4月18日には同校を訪れて教室を開いた五輪銀メダリスト・太田雄貴選手とエキシビジョンマッチをし、「負けるなら(前へ)出ちゃえ、という感じで」果敢に攻め、5‐3と敗れたものの「結果としてはいいんじゃないですか」と謙信君。観戦した同部の中村聡顧問も太田選手が「素で一本取られたように見えました」と称える。
 中村顧問によると、太田選手の五輪活躍後の世代にあたる今年の中学1~3年生は強豪ぞろいで、過去にないレベル。中学生の大会は学年ごとではないため、1年生の謙信君の目下の目標は「全中のベスト8」。その「全国少年フェンシング大会」は7月に3日間にわたり開かれ、謙信君が出場する中学生の部・男子フルーレは26日に予定されている。