top

ヒズファクトリーには工房ショップと食堂とアトリエが同居

ビル全体で手仕事の良さを伝える

吾妻橋のヒズファクトリーには

工房ショップと食堂とアトリエが同居

 

職人の仕事を見ながら2階のカフェへ――。墨田区吾妻橋の「ヒズファクトリー」は、革製品の工房ショップに飲食店と布小物作家のアトリエが同居したビルだ。料理とものづくりの現場があることで両方の手仕事の良さに触れられる空間として静かな人気を集めている。

通りから見えるのは、天然皮革からかばんや小物を作る工房。階段を上がると1階で作られた革製品が並ぶ店舗の真ん中にカウンターがあり、出来たての料理が湯気を立てている。2階のもう一つの扉の向こうでは、鮮やかな布地からバッグやポーチが次々と生まれていく。

「ヒズファクトリー」は、製造現場と店舗が一体となった「工房ショッ

改装で作られたデッキには椅子が置かれ、開放的な雰囲気に

改装で作られたデッキには椅子が置かれ、開放的な雰囲気に

プ」の一つで、店舗前にデッキを設けるなどして6月に再開した。工房主でオーナーの中野克彦さん(50)が外観の改装を決めた時期に2階カウンター奥の倉庫にも手を加えて厨房(ちゅうぼう)に変えた。

カフェ「二階の食堂」は、4人の子を育てながら墨田区内で子育て支援活動にも携わる荘司美幸さん(46)が、煮干しでだしをとったみそ汁や旬の材料を使った手料理を出す。料理上手な母親がいる家庭の温かみを感じさせるメニューは、近所の会社員や若い女性にも人気だ。実家が鐘ヶ淵で居酒屋を営み、「自分も飲食店をやりたい」という思いは長年抱いていたが、友人の中野さんが改装にあたって「新しいことをしたい」と話をするなかで「何となく決まった」と笑う。

同じ階のもう一つの部屋は「キリィエドナ」のブランド名で京都の友人と雑貨や子供服を制作する高橋華子さん(44)の仕事場となっている。高橋さんは、墨田区を拠点とした7つのブランドによる作家集団「Cotonas(コトナス)」を2012年に立ち上げ、作家同士のつながりによる新分野の開拓にも努めている。

「何屋なのかよく聞かれるが、人が動くことで見てもらう機会が増える相乗効果も期待できる。かばん屋に飲食店があってもいいでしょう」。中野さんのユニークな発想が生んだ“雑居状態”で、以前より人の出入りが確実に増えたという。不思議な感覚を引き出す場所でさらに新しい出会いや企画が生まれるかもしれない。