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スーパー堤防 住民への影響もスーパー

 江戸川のスーパー堤防(特定高規格堤防)建設に伴う沿川のまちづくり事業で、江戸川区と流域にあたる同区北小岩と篠崎公園地区の住民との協議が続いている。

 スーパー堤防によるまちづくりは、現在の江戸川の堤防が対応できる二百年に一度の流量(毎秒七千トン)を上回る洪水が発生しても決壊しないように、利根川分流点から河口の市街地を堤防から約二百メートル幅で盛り土し、同時に区画整理などのまちづくり手法で土地利用を緩和し、駅前を整備したり、道路を拡幅した新しい街を整備するもの。国土交通省が堤防を建設し、まちづくりを江戸川区が担う。同区では荒川沿いの平井・小松川地区と旧江戸川沿いの葛西地区の一部ですでに事業化しているが、江戸川沿いは未着手。これまで、篠崎公園地区(同区上篠崎一丁目、同区北篠崎二丁目)で五月から八月まで計八回の意見交換会、北小岩地区(同区北小岩三、四、六、七、八丁目)で十、十一月に六回の懇談会を開いた。

 堤防強化の半面、既存の建物を取り壊し地盤を改良して盛り土した上に建て替えるため、工期が四、五年にわたり、住民の生活や商工農業などの自営業者の生業への影響が大きい。地価上昇を見込んだ分、新しい街では以前の土地より面積が減り、家屋、事業所の床面積が狭まる。また、建て替え費を国交省と同区が補償するが、新築価格でなく同等の建物を現在建築した推定建築費から築年数分を減価した額を補償するので、差額が自己負担となる。

 住宅ローン返済中の人や年金生活者には建て替えの負担が重い。商工自営業者には休業補償をし、休んで顧客や取引先とのつながりを失うわけにはいかない事業者には仮設の店舗、作業場を用意するが、農業者の営農継続の困難には対応できない。また、老人福祉施設や病院の入所・入院棟の仮設は難しく、同区外を含む他の施設のベッドを転所、転院先として確保しておく必要がある。このほか、各住民が区分所有者となっている分譲マンションは移転の合意が難しく、移転できず盛り土との高低差が生じた場合は堤防の連続性が保てない。寺社などの年輪を重ねた大木、土手に自生する貴重な野草などが保護されないのでは、といった自然保護上の課題もある。

 協議では、住民から「川底のしゅんせつや護岸強化で対応できないのか」といった意見や「リストラされかねないなか、ローンを組み家を持った。建て替えの借金までできない」と十分な補償を求める声が上がった。同区土木部では住民の要望を検討する一方、事業を理解してもらうために来年から個別懇談を含む協議を始める考えだ。