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シアターΧの上田さんにポーランド文化功労章

 墨田区両国の劇場、シアターΧ(カイ)で芸術監督・プロデューサーを務める上田美佐子さん(78)がこのほど、ポーランド共和国から「文化功労章(グロリア・アルティス=芸術の栄誉)金メダル」を授与された。文化功労章はポーランドの芸術や文化に功績のあった個人または団体に贈られるもので、金メダルはなかでも顕著な功績に対して与えられる。上田さんといっしょに日本映画大学長の佐藤忠男さん、東京国際女性映画祭ディレクターの大竹洋子さん、東京外国語大非常勤講師の久山宏一さん、国立音大講師・指揮者の今村能(ちから)さん、北海道ポーランド文化協会に文化功労章が贈られたが、金メダルは上田さんだけだ。
 上田さんとポーランドとのかかわりは、1986年に「灰とダイヤモンド」「鉄の男」などで知られる映画監督のアンジェイ・ワイダが坂東玉三郎を起用した舞台を作りたいとの希望をもっていることを知り、89年にワイダ演出、玉三郎主演の公演「ナスターシャ」として実現させたことに始まる。当時はロシアがまだソ連で、ポーランドは東西対立の東側に属していた。ワイダの国内での立場は微妙で、彼に会うこと、また、玉三郎と引き合わせること自体が大事業であるという状況のなかでは、上田さんならでは不可能とも言える快挙だった。
 ポーランド演劇との縁ができた上田さんは、その後に運営を任されたシアターΧで、92年9月の開場記念公演「ヴィトカッツイのびっくり箱」以来、ブルーノ・シュルツ、ゴンブロヴィッチなどポーランド人作家の作品の紹介を続けている。こうした長年の活動が評価されてのものだけに、いつもは表彰の類には特に関心のない上田さんだが、今回の受章は素直に喜んでいる。「ポーランドの文化、芸術には大国に蹂躙(じゅうりん)、翻弄され続けてきた歴史を背景とした精神性の高さがある。これからもポーランド演劇の紹介を継続していきます」とますます意欲的だ。