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ガレージスミダとミュウがオープン

 墨田区の「新ものづくり創出拠点の整備」事業による2施設が、4月16日にオープンした。同事業は、墨田区が昨年度の新規事業として取り組みを始めたもので、区内の空き工場などを利用して、「コミュニティーの醸成」「人財育成」「異分野マッチング、イノベーション」などの機能を持つ「ものづくりの拠点」を運営する中小企業者などに対し、同区が改修や機械の整備にかかる経費(2千万円を上限に100%)を補助するもの。
 今回、初年度採択事業者としてオープンしたのは、板金・プレスを中心とした金属加工業を営む株式会社浜野製作所(同区八広)が運営する、ものづくり実験施設「Garage Sumida(ガレージスミダ)」(同)と、革鞄(かわかばん)メーカーの有限会社丸ヨ片野製鞄(せいほう)所(墨田区石原)が運営する、レザー・ラボ「MEW(ミュウ)」(同区太平)。
 「Garage Sumida」は、浜野製作所が倉庫として借りていた建物を改修し、3Dプリンターやレーザーカッター、CNC加工機など、最新のデジタル工作機器を導入。同社の若手を中心とした技術者らが質問への対応などに当たり、アイデアや構想を形にする支援などを行う。個人、企業を問わず利用可能で、子供たちに「ものづくり」を教える場にもと考えている。
 同社は、産学官連携の電気自動車「HOKUSAI」や深海探査艇「江戸っ子一号」の開発などに参加して取り組んできた実績もあり、浜野慶一代表は、大学や研究機関、ベンチャー企業など、あらゆる方面の相談を受け付け、地域の町工場が持つ技術の紹介や縁をつなぐ役割など「情報発信基地として日本の中小企業、ものづくり企業を元気にする拠点にしたい」と話している。
 「MEW」は、元自動車板金塗装の町工場を改修して、ミシンなど鞄を作る各工程に必要な機械12種類を導入。個人ですべてをそろえることは難しく、中には製造が終了している機種もある。
 同社の片野一恵さんは、子供から大人まで参加できる「職人体験」や、革鞄の若手職人が、実地で仕事として学ぶ「インターン」、革鞄職人の卵や革クラフトのファンが創作活動をする「シェアファクトリー」の3事業を柱に、「多くの人が交流できるような場にしていきたい」と話す。
 また、両事業者とも「基盤となる技術は一度失われるとなかなか復活することが難しい」。町工場の技術や職人の仕事など、「次世代に伝えていきたい」との思いも強い。
 同区内の工場数は、最盛期の1970年には約9703あったが、現在およそ3分の1に減っており、「ものづくりの町としてのアイデンティティーが失われつつあるという危機感があった」(郡司剛英同区産業観光部産業経済課長)。同事業では、今後も地域性を生かした拠点施設を増やし、それぞれが有機的にネットワークを持つことで、工業、商業、観光などを融合した新たなものづくりの形を目指す。
 今年度の事業者の募集は5月19日まで。