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カラオケ世界チャンピオンに

 昨年11月にフィンランドで開かれた「カラオケ・ワールド・チャンピオンシップス」で江東区亀戸出身の大学職員、田中照久さん(34)(台東区北上野)が優勝、日本人初のカラオケ世界チャンピオンに輝いた。
 「歌には国境がない。それを実感しました」と語る田中さん。世界大会決勝では、さだまさしさんの曲を日本語で熱唱し栄冠を手にした。また、元日にはさださんのテレビ番組に生出演。その澄んだ歌声を披露した。
 田中さんの母は、三矢恵子の芸名でレコードも出した元歌手の田中久仁恵さん。亀戸で洋食と中華の店「エチゴヤ」を長年営む。田中さんの家にはカラオケ機器があり、小さい頃から歌が身近にあった。第二亀戸小に通った当時から歌が特技で、全国規模の大会で文部科学大臣奨励賞などの受賞歴がある。カラオケで歌う際には本人の物まねはせず、またテクニックを磨くより、オリジナルの曲や歌手の良さを「自分なりに咀嚼(そしゃく)して(自然と)体から出るように」歌い込んでいくという。
 日本代表を決める国内大会は、カラオケ業界大手の第一興商がとりまとめ、昨年9月の予選会を経て男女各1人が選出された。昨年で10回目となる世界大会「カラオケ・ワールド・チャンピオンシップス」は、フィンランド南部のラッペーンランタで11月21日から24日未明までの実質3日間開催。米国、ロシア、スペイン、ニュージーランドなど20の国と地域からアマチュア歌手40人が参加して、自慢ののどを競った。
 2曲を歌い準決勝にコマを進めた田中さんは「星に願いを」の邦題で知られる「When You Wish Upon A Star」(平井堅バージョン)を英語で歌い決勝進出。そして詞も曲も大好きなさだまさしさんの「たいせつなひと」で決勝に臨んだ。この曲は「母や祖父への感謝の気持ちを自然と乗せられる曲」(田中さん)で、出場者の大半が英語で歌うなか、日本語の歌の良さを知ってほしいとの思いもあった。
 帰国後は数本の取材を受けたが、尊敬するさださんの番組「年の初めはさだまさし」(NHK)からの出演依頼は「夢のような話」で喜びもひとしおだった。「歌が架け橋になって縁が広がっている。人をつないでくれる歌ってすごいなと思いますね」と話す田中さん。聞く人がいる限り「歌をやめることは考えられない」が、プロになるつもりはない。「大学職員が本分。仕事をやりながら表現する場があれば」と、現在は慰問などの奉仕活動やチャリティーコンサートに興味がある。世界一の称号を手にした今後は活動の幅が広がりそうだ。