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“おふくろの味”が原点〜「三十味の会」28年の歩みをレシピ集に

 1983年(昭和58年)から毎月1回、小岩区民館(江戸川区東小岩)で家庭料理の講習会を開いてきた「三十味(みそあじ)の会」(山谷裕美子会長)が、昨年12月に277回分の調理法をまとめた冊子「クッキングノート〜発足28年記念レシピ集」を作成した。
 「三十味の会」は、1983年当時、江戸川区立東小岩小学校に管理栄養士として勤めていた喜友名(きゆな)典子さん(71歳、同区東小岩)と同校PTA・厚生部のメンバーが結成した。その頃、厚生部では、生活習慣の変化による食生活の乱れや肥満児・成人病の増加が社会問題として浮上していたことを背景に、「食」の大切さを考える様々な企画を実施していた。任期終了後も何か活動したい、という声で、料理講習会が始まり会員“30人で作る味”から「三十味の会」と名付けた。
 毎回の献立を決めた喜友名さんは、自らが学校給食に取り入れたメニューや行事や季節を取り入れた家庭料理をレシピとして用意した。特に、喜友名さんが意識したのは「郷土の味」だ。
 例えば、喜友名さんの出身地である宮城県石巻市に伝わる「仙台ちらし」は、具を飯に混ぜ込まずに上に重ねて盛り付ける。地元で引き出物などに使われる色鮮やかな蒲鉾(かまぼこ)を細かく切って具に加えるのも特徴で、彩り豊かなすしになるという。喜友名さんは「東京と違うこの料理を子供たちにもぜひ食べてもらいたかった」と、在職中は給食の献立にも取り入れた。
 このほか、「米なすのくるみ味噌(みそ)」のように、料理好きだった母親から譲り受けた味はレシピの随所に受け継がれている。昨年の東日本大震災では、実家が津波の被害を受け、母親の位牌(いはい)も泥の中から見つかった。初夏から始めた「クッキングノート」の編集作業は、喜友名さんの中に生きる “おふくろの味”を再認識する仕事になったようだ。
 「三十味の会」では、「クッキングノート」の完成を機にメンバーが高齢化などの事情から活動を休止することになった。28年の歩みは区切りをつけるが、栄養と味のバランスを考えた1100品目以上の料理は、参加者たちの家庭を通じて次世代にも受け継がれていくに違いない。