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〝発明品〟だらけの自転車屋さん

 江東区石島の街で見つけた不思議な〝風車〟の正体は? 車輪などを材料とし、自転車の形を模したこの設置物は、自転車修理・販売店「セーフティサイクルAKI」の店主、袴田文明さん(50)が手づくりしたミニ発電機だ。店の中にはほかにも〝発明品〟がいっぱいで、合計「30点はあるかな」と袴田さん。修理を待つ子供たちが退屈しないよう鉄道模型を走らせていることも合わせて、その店内は個性にあふれている。
 子供の頃から物作りが好きだった袴田さん。同店を2009年7月に開業してから、空いた時間を使ってアイデア品の制作を進めてきた。完成した品々は、実用的なものから、子供たちを楽しませるユニークなものまでさまざま。お金をかけずに工夫するのが基本方針という。
 〝発明品〟の一つ「ひらけごま」は、入り口扉を店奥から遠隔操作で開ける仕掛け。毎回、自転車を押す客の先回りをして扉を開ける面倒を解消するもので、動力に廃品の掃除機の吸引力を使っている点がユニーク。また、自転車を逆さにせず、高い位置でタイヤを浮かせて固定する「作業台」は、作業効率を高める工夫が満載。パンク修理に使うバケツが台横のレールに沿って前後に滑り、また工具や部品が整頓できる収納部も設けてある。さらに改良型の2号機は、ジャッキのように車体が持ち上がるため、重い電動アシスト自転車にも使える。
 トイレにいても来客を伝えるドアフォンは、東京スカイツリーを模した台の側面に設置。導入の動機は、たまたまトイレに入っているときに「3日続けて客が来たから」。そのほか、エアコンの室外機から出る水で玩具の水車を回転させたりと、アイデアと遊び心がいっぱい。
 外の〝風車〟は、自転車のライトと同様、回転することで発電する仕組みで、その電気は店の看板を照らす明かりとなる。当初はスノコの板で羽を制作したが重くて回らず「研究を重ねて」発泡スチロールのレジャーシートや100円ショップでそろえた箸置きトレーを使い11年の春先に完成。この〝風車〟は子供に人気だが、大人も珍しがって、よく写真を撮っていく。
 年間1300台のパンクを修理し「パンク修理の専門店だと思われています。本当は自転車を売ってるんだけどね」と明るく笑う袴田さん。荒天の日を除き一年中店を開けているため、地域に重宝される店でもある。客のなかには〝発明品〟を見ながら長くくつろぐ人もいて、袴田さんは今後もアイデアを形にして人々を楽しませていく。