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「希少難病ネットつながる」が1周年

無理解に苦しむ患者を孤立させたくない

「希少難病ネットつながる」が1周年

 

病名にたどりつくまでに17年間――。難病の中でも患者数が少ない希少難病、アイザックス症候群の患者・当事者として生活する香取久之さん(45)(江戸川区南小岩)はNPO法人「希少難病ネットつながる」(RDneT)を立ち上げ、希少ゆえに苦しみを周囲に理解されない患者の孤立を防ぎたいと、昨年から周知活動を始めている。2月12日には希少難病を多くの人に知ってもらいたいと、「設立1周年大感謝祭」をタワーホール船堀(江戸川区船堀)で開く。

「全身のけいれんや硬直、ピクつきが常にあり、いまも足の裏は焼け付くような感覚。ひどい風邪を引いた時の体の節々の痛みや倦怠感(けんたいかん)が年中続くような状態だ」。壮絶な苦しみをともなう症状は、椅子に腰掛けて静かに語る香取さんの姿からは想像し難い。

アイザックス症候群は、免疫の異常などにより末梢神経の細胞で特定の働きをするタンパク質の一つが機能しなくなることに関連した病気とされ、原因や治療法はわかっていない。厚生労働省の研究対象分野の難病に関する情報を提供するホームページ「難病情報センター」によると、患者数は全国で約100人だ。

香取さんの場合は、17歳の時に腰の激痛や筋肉のけいれんといった症状が出始めた。しかし、どの医療機関でも病名を特定できず「同じ説明を繰り返して何十件もたらい回しになるうちに、この病気は世界で自分ひとりと思ってあきらめることにした」という。

その後、体の異常を抱えたまま理系の国立大学に進学し、卒業後は大手製薬会社に就職した。34歳の時に大学病院で「アイザックス症候群」と診断された。依然として効果的な治療法はなかったが、病名がついたことでインターネットを通じて同じ病気の患者5、6人と出会い、患者会「アイザックス症候群りんごの会」の設立につながった。

高校時代から多くの友人や仲間に恵まれた香取さんは、会の副代表として活動を始めてから多くの人が周囲の無理解や医師とのミスマッチにより孤立を深めている実態を知ったという。「アイザックス(症候群)に限らず約7000種類といわれる希少難病患者には自殺や生活崩壊など切実な状況に追い込まれる人も多く、そうなる前に孤立を防ぐ手立てが必要だと思った」。

自らも17年間病気を理解されず苦しんだ経験は、孤立を防ぐための事業を始める下地となった。「希少難病ネットつながる」が始めたSNSサイト「RD-Oasis」は、病院検索「SCUEL」のデータベースとも連携し、登録者が任意で登録する疾患名や診療を受けている医療機関や診療科などの情報が、新たに病院を探す患者のためのデータベースとしても活用される。「患者同士だけでなく医療機関や支援の手などさまざまな場所とつなぐ活動をめざしたい」と香取さんは語る。

「希少難病ネットつながる」の香取さん。アイザックス症候群の症状は以前より深刻になっているというが、精力的に活動している

「希少難病ネットつながる」の香取さん。アイザックス症候群の症状は以前より深刻になっているというが、精力的に活動している

 

2月12日

タワーホール船堀で

設立1周年大感謝祭

 

2月12日に開くチャリティーイベントは、マジシャンや手話パフォーマンス隊、車椅子使用者が装具の力を借りて踊るダンスなど、香取さんが活動を始めてから知り合った人たちによる舞台が中心。午後6時30分開演。入場無料。