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「世代超えた地域の集いの場を」

 清洲橋から隅田川左岸沿いに南へ歩くと、壁面いっぱいに絵が描かれた倉庫のような建物が目に入る。江東区佐賀にある都内最大規模の古着屋「タロス清洲橋店」(2010年1月開店)だ。米国文化と古き日本文化が混在したような200坪の店内には、古着のほかアンティーク家具や小物、雑貨などが賑(にぎ)やかに並ぶ。そして店内に新たに誕生したのが、オーナーの直井重明さん(58)が廃材などを使い、仲間と作り上げたステージ。3月に続き4月22日には2回目の無料ライブが盛況のうちに終了し、地域の交流拠点として今後の発展が楽しみだ。
 1980年代半ば、直井さんは原宿を中心に古着屋十数店舗を展開した経験があり、当時はロサンゼルスに10年ほど居住し、トレーラーで仕入れに出ていたという。そんな直井さんが生まれ育った地は実は深川で、今は地元の客と接することを大切に考え、この大型の清洲橋店と森下店の2店を経営している。
 昭和の香り漂う2・5坪ほどのステージで、月1回開催予定のフリーライブは、口伝えを意味する「フォークロア」と名付け、「年齢に関わらず楽しめる構成を心掛けています」という。出演者の選定と進行は、同店スタッフでステージマネジャーの戒谷俊太(えびすたにしゅんた)さんが担当。3月の第1回ライブでは、多くの年配者が音楽に合わせて体を振りながら楽しんだ。その様子を見た直井さんは「すごい収穫でしたね。僕はこれを求めていたんです」。年配者の中には「ありがとう。青春を思い出しました」と笑顔で礼を言う人もいたという。
 2回目の4月は早大落語研究会の3人が落語を披露し、東京都のヘブンアーティストにも認定されているトランペットとギターのデュオ「Ori‐Toshi」が、ジャズナンバーや「君といつまでも」「男はつらいよ」などの日本の楽曲も聞かせて観客を魅了した。
 そして約3時間のこの日のライブのトリは、打楽器、アコーディオン、クラリネットによる若手女性3人組の「ちんどんバンド☆ざくろ」。「東京ブギウギ」「ミネソタの卵売り」「月光値千金」などの懐かしい曲に、来場客たちは手拍子で盛り上がった。小雨にも関わらず集まった観客の熱気を感じた直井さんは「1回目よりさらにいい感じですね」とうれしそう。
 この場所を「地域の人たちが気楽に訪れて集うような場にしたい」と語る直井さん。すでにステージ脇の2階部分ではギター教室(講師=君塚世和さん)が始まっており、また至近の福祉施設とは催しで連携する話も進んでいる。ゆくゆくは、隅田川沿いの遊歩道を使ったフリーマーケット開催なども視野に入れ、「街を動かすようなことをしたい」と語る。柔軟な発想のもと、焦らずゆっくりと地域活性化と交流の輪を広げたい考えだ。
 次回はあす12日、新企画のアコースティックライブを夕方ごろから開催の予定。同店は江東区佐賀2の1の8、電話5245・1720。営業は午後1時から8時まで。水曜定休。