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「サピエ図書館」って何だろう?〜「サイトワールド2011」で講演会

 視覚障害者の装具を扱うメーカーや団体が出展する展示会「サイトワールド2011」が、11月1日から3日まですみだ産業会館(墨田区江東橋)で開かれた。視覚障害者向けに開発された家電や端末機器などが並ぶこの見本市は全国でも他に例がなく、2005年から今回で6回目を迎える。最新の情報を求めて3日間で約5000人近くが訪れ、各メーカーもこの時期に併せて新商品を発表するという。
 今回来場者が注目した製品の一つは、「サピエ図書館」の利用に役立つ端末だ。昨年4月から登場したネットワークシステムを利用した「サピエ図書館」は人の手を介さずに視覚障害者が好きな本を読めることで今後の利用拡大が期待され、1日にはこれを紹介する講演会も行われた。
 「サピエ」は、視覚障害者や文字を情報として理解できない障害を持つ人などの利用に向けて日本点字図書館のデータ化された資料や、全国の図書館など約240館にある点訳・音訳された資料の蔵書リストを閲覧できるネットワークを指す。1980年から90年代に登場した「てんやく広場」「ないーぶネット」といった前身の情報提供システムに音声データが加わり、2009年から厚生労働省の補助事業として委託先の日本点字図書館が管理、「全国視覚障害者情報提供施設協会」が運営する。
 「サピエ図書館」は、これをパソコン・携帯電話などで直接利用できるようにしたもので、会員になると点字図書は13万冊分、「音声デイジー」による録音図書などは2万7000冊分のデータをダウンロードできる。また、全国の図書館などに散在する資料を検索で探し出して相互貸借すれば、ボランティアが同じ資料を重複して点訳・音訳せずに済むという。
 1日の講演会で語ったサピエ事務局長の加藤俊和さんによると、図書館の個人会員は全国に約9000人で、膨大なデータを自由に扱えるほかに、病気や宗教分野など第三者に書名を知られたくない資料が直接手に入る点にも利用価値が見出されている。事実、毎回のベストテンには成人向けの小説など“アダルトもの”が並ぶという。「情報を自力で入手できるようになったことで、視覚障害者等が初めて “読書の自由”を得たことを示している」と加藤さんは言う。
 今回の展示会では、デジタル録音図書のデータを直接取り込める携帯情報端末が発売され、パソコンを使わずに“図書館”の利用ができるとして注目された。新商品を出した長野県のメーカーの設営ブースで説明を聞いていた市原市の女性(24)は、「(文字を大きくする)拡大読書器は時間がかかっていたので、音声データで使えるならぜひやってみたい」と語った。